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而邸 ⅩⅨ 太鼓障子

2017.01.21

而邸(自宅)の寝室の入り口は太鼓障子になっている。

太鼓障子とは、両面に障子紙を張った建具のことで光を通し、よく茶室に使われてきた。障子襖(しょうじぶすま)と呼ぶこともある。

今はまだ太陽の高度が低いから、目を覚ますころ、この太鼓襖に窓ガラス越しの朝日が当たっている。

両面が障子紙だから、薄暗い室内で障子自体が輝いて見える。

美しい。

こういう美しさは、何と言っていいのだろう?

一般的に言われる美術品とは違った美しさ。

これこそインスタレーションではないか。

また建築の美学はこんなところにあるのかもしれない。

 

みんなで住むの原点

2017.01.14

元旦の新聞にゴリラの研究者、山極寿一さんという方のインタビュー記事が出ていた。

思わず引き込まれてしまう内容に、山極先生の本を探し求める。

何冊も本を出しておられる方だが、「サル化」する人間社会、をさっそく買う。

「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)

この本に惹かれたのは集合住宅の設計をやってきたからかもしれない。

建築の設計をやっていて、特にこの東京という街では、人間関係や家と家の関係がバラバラに断絶しつつあることが大変気になっていた。じわりじわりと人間関係における寂しが増し、不幸な街になってきているような気がする。

そんなことから皆が適度な距離を保ちつつも、一つの場所に対する共有感を持てるような集合住宅の設計目指してきた。

山極先生の本によると、ゴリラはチンパンジーなどのサルとは違い、自分以外のものの気持ちを理解する能力、共感能力がとっても高いらしく、集団に対する帰属意識も高い。

一方、チンパンジーなどのサルは個々がバラバラで、それは自由だともいえるが、孤独。

東京の人間はチンパンジー的!

アフリカの森のゴリラの方が余程いい世界を作っているなー、と感心することしきり。

と言って、この本を読めばどういう風に共同住宅を設計すればいいか、ということにはつながらないが、(あまりにも普通な言い方だけど)みんなが幸せになれる共同住宅の設計がいかに重要か、ということの思いを強くした。

現在掲載中の雑誌

2017.01.05

専門家向けの雑誌ですが、

彰国社の雑誌「ディテール」の211号に「工/手の家」が掲載されています。

ディテール 2017年 01 月号 [雑誌]

よろしかったらご一読を。

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美しい階段を目指して

2016.12.31

今年の仕事納めは鉄工所へ。

今作っている住宅の階段はリビングの中にあって目立つ存在。

美しく軽やかに上階へと飛翔してほしい。

そのような階段を、鉄筋トラスのササラ桁で考えた。

しかも階段全体としては螺旋と直線の組み合わせ。

模型を作ってみないと、どう構成していいか、またディテールもわからない。

そこでいくつも模型を作った。

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手すりなどはついてないが、最終の形に近いもの。

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これが製作現場の様子です。

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カーブが自然と流れるのが難しい。

鉄工所の松田さんがよくやってくれた。

暮れも押し詰まった、製作現場でのいい仕事納めだった。

 

 

 

まさかのことが多々起こった今年

2016.12.23

トランプの勝利や、イギリスのユーロからの脱退、テロなどまさかと思うようなことが今年はいろいろとおこり、世界が激動し始めた感がある。

そんな中で、駅の売店で思わず買った雑誌、週刊「東洋経済」の「ビジネスマンのための近現代史」が面白かった。

ナショナリズムや、ポピュリズム、保護主義などの基礎知識を分かりやすく解説してくれている。

週刊東洋経済 2016年12/24号 [雑誌]

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七竈(ななかまど)

2016.12.22

ナナカマドって変な名前だと以前より思っていた。

調べてみたら七竈 と書くらしく、

材が硬く、燃えにくく、7回かまどにくべても燃え残るためだとか。

下の写真は、冬になってもたくさんの枝が残るナナカマドを道路に面した窓の前に植え、道路との緩衝となるように植えたもの。

 

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本の紹介「現代音楽のゆくへ 黄昏の調べ」☆☆

2016.12.10

現代音楽がなぜ不人気なのか、そしてその不人気な現代音楽はどのようにしたら人々に受け入れられるようになるのか、といったことを論じた本。
もともと現代音楽はわかりずらく不人気だったが、さらに最近は演奏される機会も減っているようだ。
やはり人気がないのだろう。

で、そんな現代音楽を論じる本だが、この本の「現代音楽」という言葉を「建築」という言葉に置き換えても読むこともできる。
建築は現実社会での用途が前提とされるから、現代音楽のように「人にわかんなくっても、俺が描きたいように作曲するだけ」という具合にはいかないが、建築にも多少なりとも一般の人には理解され難い傾向があるのも事実だ。
現代音楽の不人気の理由を、新しさが常に求められる「近代」にあるとし、その歴史的変遷のキーワードとして、構成、モダン、ポストモダン、キッチュ、ミニマリズム、素材の自由化、コラージュなどが出てくる。
なんだ建築と一緒じゃん!と驚かされる。
音楽、絵画、建築などあらゆる芸術が関係性を持ちながら同時代的に進行しているんですね。
この本を読むことで、我が建築の世界を逆に照らし出されるような気がした。
黄昏の調べ: 現代音楽の行方

オッ、楽しい家

2016.11.23

 

現場に行く途中、柿の木坂で出くわした家。
なかなか楽しい。

よく見てみると、蔦が絡んでいたり、

蝶も舞っている。

なかなかうまい。
多分、絵描きさんが描いたんだろうな。

そう言えば、海外でこれを大々的にやっているのを見たことがある。
ドイツに行ったとき、オーストリアに近い国境の町、オーバーアマーガウとかいう町。この街にはだまし絵の建物がたくさんあって妙に楽しい街だった。
よく見ると窓回りの飾りは全部フレスコ画で書いたもの、壁は実はツルンとしている。
良く描けているので、本当はどうなのかと、絵を引き剥がして見るには努力がいる。

而邸 ⅩⅧ 家守君

2016.11.08

自宅(而邸)の障子にペタッとくっ付いていたヤモリのシルエットです。
美しい!

 

会津 Ⅲ 長床 ☆☆

2016.10.30

長床(ながとこ)は前々から見たいと思っていた建物だが、やっと目にすることができた。何度もこの近くを通っていたのだけど…。

なるほど、水平に広がる姿が美しい。

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会津は幕末で有名。それだけでなく長い歴史があることは前回書いたが、この長床は会津盆地の北寄りのラーメンで有名な喜多方にあって、平安末期から鎌倉初めに建てられたといわれる建物。神社の拝殿です。

そんなに古い建物だから何度も何度も改修を繰り返し、柱は根継(ねつぎ)だらけ。かつて床はもっと高く持ち上げられていたそうだが、段々と短くなり現在のように基壇からわずかしか上がってない状態になったそうだ。

柱をよく見ると木目が洗われ、年月を経たものだけが持つ深みのある美しさ。

 

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この建物には壁がない。それどころか貫(ぬき)もない。一度だけ江戸初期に地震で倒壊したそうだが、それでも頻繁にある地震によく耐えてきたものだ。貫が使われるようになり建物の強度は格段に向上したが、それは鎌倉以降。

それまでの耐震技術は長押(なげし)によったが、なるほど長床も大きな長押で固めてあるのがわかる。

 

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長床のように壁のない建物を韓国でも見たことがある。屏山書院(ピョンサンソウォン)という建物で、これも美しい。近く世界遺産になるとか。

同じく吹き曝しだが、長床とは微妙に違う。やはり韓国の建物だ。

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会津 Ⅱ 左下り観音堂☆☆☆

2016.10.20

会津と言えば、戊辰戦争や会津戦争に代表されるように幕末の物語が印象深く、その前はどうだったかあまり考えることもなかったが、奥州最大の都市だったこともあったらしい。そのようなことから古い建物があるのは当然のこと。

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この建物を見て、正直言ってびっくり!

人知れず、会津にこんなに素晴らしい建物があったとは。

もちろん地元の人はこの建物の存在を知っているはずだが、当地以外の人でここににこのような建物があることを知らないのではないか。

いわゆる掛け作りで、何時の創建かははっきりしないらしいが、造りからするっと鎌倉初期。

最上階です。

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最上階だけでなく、その下にも2層の床があるが、この空間もいい。

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かなり古びて木目が浮き立っているが、それが心地よい。

最近、やっと県の指定文化財になったらしいが、地元の人の憩いの場所として飲み食いが今でもなされ、地元の人に大事に保存されてきたようだ。

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柱も根継だらけ。

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国の文化財になってもいい建物だと思うが、そうなると地域の人に手の届かないものになってしまい、建物本来のものでなくなってしまう。

 

 

 

會津 Ⅰ

2016.10.11

例年出ている「木の建築賞」の選考で福島県会津へ。

 

木の建築賞は今年で第12回。日本を4つの地域に分け、毎年順繰りに回って、各地域の優れた木造建築に賞を差し上げるというもの。

今年度は東北の各県に新潟、北海道が審査の対象地域になっている。

近年、建築関係の賞は沢山あるがいい加減な賞が多い。そのような中で木の建築賞は1次選考、2次選考、3次選考が現地審査と丁寧な内容のある討論を経て賞が決定されている。

先週の土曜日に會津で2次選考会が開かれたのだが、いい作品がかなりあったが、その内容については3次の最終選考の後で。

毎年土曜に行われる2次選考の翌日の日曜日には選考会場のある地域の木造建築の見学会が開かれる。

というわけで今年度は会津地方の建築を見ることができた。

會津と言えば有名な栄螺堂(さざえどう)がある。

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DNAと同じように2重らせんになっていて、登り下りが別々のルートになっていて、登りが1.5回転し、また降りるのに1.5回るので、計3回転することになる。なぜこのような建物を作ったか、諸説あるようだが、面白いのはレオナルド・ダ・ビンチもこのような2重螺旋の建物を作っていて、その図画が新潟辺りに辿り着き、それに触発されて作ったというのがある。

それは置いておいて、実際に見る栄螺堂はグロテスクというかバロックというか…、こんな濃い建物はそう日本にない。

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それにしてもどのようなプロセスを経て作ったのだろうか。

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江戸になると今の時代に近い精密な図面も描かれていたから、そのようにして作ったのだろうか? いやいやこの建物を図面にするのは相当に難儀なこと。平面は6角形で。そして人間が立てる階高の4倍の高さの中央と外側に6本の柱を先ず立て、それを元に順次作っていったのではないか・・・など、建築をやっている人間ならではの興味が湧いてきた。

 

ホームページを作り変えました

2016.10.02

ホームページを作り変えました。

まだ完成形には至っていず、手直しが必要なところがたくさんありますが、できるだけ見て読んで、面白い、楽しい、役に立つことをたくさん書き込みたいと思っています。

ブログでは建築のことはもちろん、世相や読んだ本のことなどなど、日々考えたことを記していきたいと思います。

新しい投稿スタイルに慣れるのにしばらくは時間がかかりそうですが頑張ります。

引き続きのご贔屓を!

座布団一枚の階段

2016.08.26

新宿から歩いて行けるところに木造3階建ての集合住宅が完成。
Apartment芳という集合住宅。
その建て替え前の住宅の写真です。

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建て替え前もアパートで、何度も増改築を繰り返し、その結果、上記のような斜に切れた階段が生まれたようだ。
恐らく、手前が増築で、奥が古くからあった建物。
手前の増築部分の部屋には、まともに出入りできるが、これまであった部屋には急な階段にしない限り、入ることができない。
その結果このような三角の部分を作って入れるようにしたに違いない。
そしてさらに面白いのは手すり。
入り口のところも高くすると、入りにくい。
しかも上手いことに、手前の部分は低くていいが、奥の方では3段落ちていて怖い。だから手すりも高くすべく床から斜めに立ち上げたたわけだ。
必要に迫られて生まれた増改築ならではのデザイン。

都営新宿線、阪急電車のシート

2016.08.14

新宿始発の都営新宿線の車両がホームに入り、
ドアが開いたら緑色のきれいなシートが目に飛び込んできた。

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新しい型式の電車のようで、
きれいで、座り心地も良く、肌触りもマーマー。

でも、これまで経験した電車で、もっとよかったのが関西の阪急電車。
(どういうわけ大阪の人は阪急線と言わずに、阪急電車という)
関西の山の手地域を走る電車とあって、品がある。
外観は落ち着きのあるワインレッドに、
座席は深い緑色、布地はモケット。
材質はわからないがひょっとしてウールかも?

ソファーを設計することがあるから気になる。
写真を撮っておけばよかったが、今度乗った時は撮っておこう。
何時も乗っている当地の人は見慣れて何とも思ってないかもしれないが、
たまに行くものには、ヘェーと思わせられる。

最近面白かった本

2016.08.04

日系のアメリカ人が描いた歴史の終わり〈上〉歴史の「終点」に立つ最後の人間
以前かなり話題になっていて、そのうち読みたいと思っていたが、上・下2冊の分厚い上に、パラパラとページをめくるとプラトンやニーチェ、ヘーゲルなどの名前が散りばめられていて、なかなか大変そうで読みだせないでいた。
ところが読み始めたら意外や意外、すぐに夢中になってしまっていた。
丁寧に読めばちゃんと理解できる本で、それにサーッと読むにはもったいと思ったから読み終わるのに3~4か月かかってしまったが。
読み終わったころ、イギリスのUEからの離脱国民投票があったが、フクヤマの本を読んでいたので今までとは違った視点で見ることができたと思う。歴史の終わり〈上〉歴史の「終点」に立つ最後の人間

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次は建築の本です。

マリオ・カルボ「アルファベット そして アルゴリズム: 表記法による建築――ルネサンスからデジタル革命へ」鹿島出版
僕たちが日ごろ書いている図面って、いつ頃から書かれるようになったか、大変興味があった。
日本では図面の代わりに雛形(ひながた、今でいう建築模型)を制作し検討したとか、それを施主に見せてOKをもらったとか、図面の出現は意外と新しいとか、いろいろと面白い話があるが、西洋ではどうだったのかあまり考えたことがなかった。
この本では、その始まりをルネッサンスの建築家、アルベルティ―としている。
建物とは建築家によるデザインと全く同一なものをコピーするために、
あるいは原作者性に起因するものと同一なものを制作する手段、として図面はあったのだが、
デジタル革命により、アルゴリズムと連動したCAD/CAMは全く新しい世界を切り開きつつあり、
単一の原作者性のコピーから製作の各段階で他者の参加性が可能となり原作者性が多重な層をなす、
という予言。
この予言は現に実現しつつある。
さらに、それは前近代の手仕事に替わる可能性を持つものとしても期待されているが、
僕が最も興味を持つその部分に関しては異論がある。
しかし、問題を提起させる書として大変面白かった。

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これも建築の本です。

藤森照信の「藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎」六耀社
こんなにメッチャ面白い茶室に関する本を読んだことがない。
茶道そのものが型、型で息苦しい面もあるが、茶に関する本も息苦しく型にはまったものが多い。
しかしこの本は何と茶室について伸び伸びと考察を加えていることか。
さすが、である。

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第12回木の建築賞

2016.07.20

「木の建築賞」が今年も開かれます。
木の建築賞はとってもユニークでな賞です。
日本を4つの地区に分け、4年に一度、賞の対象地区が回ってくるという、あたかもオリンピックのようです。
詳しいことは下記のホームページを見て頂ければよくわかると思いますが、
年々評価が高まっている賞です。
木の建築賞

建築関係の賞は幾多、数多ありますが、1次審査は書類選考、
2次選考は公開で応募者も選考の過程の議論に参加できることや、
3次選考は現地審査など、しっかりした議論、見分を経て決まる賞です。
今年の対象地域は北海道・東北・新潟地区、
第2次選考会場は素晴らしい木造建築の会津坂下町立坂下東幼稚園です。
当該地区北海道・東北・新潟地区で設計・活動をした経験のある方は是非、応募ください。

なお、泉が審査委員長をやっています。

いいとこ見っけ!!

2016.07.17

大手町での用事が終わり、
そういえば大手町にAMANができたなーと思い出した。
AMANはアジア一帯で高級リゾートを展開しているホテル会社。
大手町のビルの谷間をテクテクと歩き、AMANを探し出す。
しばらくしたら、えっ!ここが大手町?と思わせる森に出くわす。
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ここがAMAへのアプローチ。
しばらく行くとAMANが経営するカフェが一階にある。
そこそこの金額でお茶がもできる。
東京のど真ん中と思えないほどの緑と落ち着き。
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上階にあるホテルロビーにエレベーターで上がると、
4~5階分はぶち抜いた吹き抜け空間。
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眼下には皇居の森に宮殿も。
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AMANにはスリランカで泊ったことがあるが、
たまにはこんなリッチさもあっていいかっ。

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