2011年09月の
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新宿3丁目交差点でデザイン分析を

2011.09.27

どこの建物と思いますか?
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新宿伊勢丹です。
おなじみのデパートだけど、建物を良く見た人は意外と少ないようだ。
アールデコのデザインで、昭和8年ころに建ったらしい。
なかなかのもである。

この写真は明治通り側のもので、新宿通側と若干デザインが違うが、どちらも同じモチーフを使っている。
1階と2階の間に御影石で作った帯状のレリーフが走っている。
このレリーフを良く見ると、縦方向には6分割してある。
その6段をどのように考えながらデザインしていったか?と思いながら見ると結構勉強になる。

40年後に…

2011.09.21

古いビルをお買いになった方がいて、
改装したいとのこと。

しかし改装工事といっても、
マンションの一室ぐらいだったらどうってことないが、
大きめの改装だと、配管やら耐震性能のチェックなどいろんな問題が出てくる。
しかも現場は遠い。

でもオーナーはこのビルに大変な愛着を持っておられるようで、
トイレの金具を自らピカピカに磨いておられた。
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40年前の男子トイレの金具とは思えないほどピカピカ
40年前と言えば、自分は何歳の時、その時のものかーと、いたく感動。
新品同様というか、それ以上。

オーナーがこれだけ愛着を持っているのであれば、
仕事をして応えないわけにはいかない。

しかも、天井裏のコンクリートの打設状態を見たらいい施工をしていた。
設計事務所の監理がきっちりしていたようだ。
デザインもその当時としてはかなりいい。
40年前の設計者がどのような人だったかは分からない。
ひょっとして、もう亡くなっているかもしれない。

後世にそれを見た設計者に評価される、
素晴らしいことだ。

Apartment五風 Ⅱ

2011.09.14

「泉さん、この照明器具を付けて欲しいんですけど・・・・」と、
建て主さんに言われることがたまにある。
念願の新築をしたら付けようと思い、買っておいたものだ。

Apartment五風の建て主さんが、
「デザインが合わなかったらいいんですけど・・・・、どこかに使っていただけませんか・・・・?」と、
骨董品ぽい照明器具をおずおずと出された。

そのような時、できるだけ使ってあげようと思うが、
どうしても合わなそうなものだと困ってしまう。

しかし今回は、見た途端コレハイケル、OKと咄嗟に思った。

Apartment五風のオーナー住戸の階段室です。
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建て主さんが持っていたロシアの?照明器具で、
少し壊れていて手直しして付けたが、階段室によく合った。
壁に当たった光の模様が♥型でかわいい、
それに階段室のボリュームにもあっている。
流石、お茶をやっている人はセンスのいい物を持っているもんだ。

Apartment五風 Ⅰ

2011.09.12

西荻に「Apartment五風」と言う変わった名の集合住宅ができました。
集合住宅と言っても、賃貸住宅が3軒、それにオーナーの自宅。
オーナーの自宅には8畳、広間の茶室がある。

茶室の名は五風軒。
五風軒の名は建て主さんが持っていた熊谷守一さんの書の「五風十雨」からとった。
五風十雨の意は、
五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降るように気候が穏やかで、豊作の兆しがあり、世の中が平穏無事であるたとえ。

茶室は「五風軒」、アパートは「Apartment五風」にした。
茶室の入り口に欠ける扁額です。
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いいでしょう?
作ってくれたのは望月通陽さん。
望月さんには表札の字などをお願いしているが、
書けそうでなかなか書けない字。
ときどき自分で書こうと思うが、
彼の字にはかなわない。
それに彼の字は僕の建物にぴったり。

この扁額で建物に魂が入ったようです。

白雲木

2011.09.09

震災以来、植物のことを書くのを忘れていた。
ススキに続き植物の話です。

先日、茶事で駒込を歩いていたら、
ブドウのような実がなっている街路樹が。
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ぶら下がっていた樹名を書いたカードには「ハクウンボク」とある。
早速事務所に帰って調べてみたら「白雲木」と書くそうだ。

さらに調べてみたら春にはこのような花が咲くらしい。
Hakuunboku51_2
いやー、綺麗。
雲がたなびいているように見えるからこの名前がついたのかも。
広めの庭のある家に使えそうだ。
春になったらまた見に行ってみたい。

ススキは逆光が美しい

2011.09.05

今年の夏も暑かった。

昨年から夏はもっぱら半ズボン。
人に会う時、失礼かな?と思いながらも一度これにしたらやめられない。
それに節電という言い訳が今年はあった。
銀座にも堂々とこれで行った。
今年の夏、長いズボンをはいたのは二三度。
一度は講演会、それに茶事の時。

一昨日、銚子に近い千葉県の旭にある現場から帰る途中の国道沿いに、
逆光に映える銀白のススキがたなびいていて、ほんとうに美しかった。

今年も、もうチョイで半ズボンとおさらばです。
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建具の本

2011.09.01

世の中にはマイナーで、一部の世界でしか知られてないニッチな、でもいい本がある。
建具屋の荒川義昭さんから紹介してもらった「建具製作教本」全3冊。

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この本の「はじめ」には、

・・・・、多年渇望の「建具製作技術の奥義」とも申すべき書を刊行することになりました。
わが業界として最も大切な技術を現代から後世に伝えることは、
当連合会に課せられた重大な責任であり、かつ崇高な使命であります。
・…古くから伝わる高度の技術は、「父子相伝」とか、「門外不出」とかいわれて参りましたが、
当連合会では全国各地に居られる全国建具組合連合会技術委員会各位の
長年に亘って練磨された技術を惜しみなく公開していただいた次第であります。
近代建築様式の推移により、古い時代の建具は次第に需要が少なくなりましたが、
いつの日か再び必ず求められ、この教本が指導的役割を果たす日が参ることと固く信じています。・・・

とある。
僕の父親の世代の懐かしい口調だが、言葉の内容通りの本だ。

建具のことを大学で教えてくれるはずもなく、
建具のことは建具屋と仕事をする中で教わって来た。
他の職種のことでも同じ。

ところが、である。
上手いと言われる設計者はこのよな勉強を良くやっているもの。

一度、手にしたら一生の宝ものになるような本だ。
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