2010年09月の
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戦争の日本近現代史

2010.09.27

中国との問題で日本の「弱腰外交」が話題になっている。
メディアは読者の興味を引くために、また野党も一斉に政権攻撃のいい材料にしているようだ。

そのようななか以前読んだ加藤陽子著「戦争の日本近現代史」を思い出した。

細かいことは忘れてしまったが、
日本がなぜ明治以降の日清、日露戦争、第二次世界大戦へどのようにして突入してしまったか、
戦争をどのような論法で正当化し、合理化していったかを検証している本だ。

このような時、一読をお勧めしたい本だ。

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いい仕事は、人が見ていなくとも・・・。

2010.09.23

板金屋という職業があります。
車のボディーの凸凹を治すのも板金屋ですが、
建築にも板金工事があります。
おもに金属の屋根を葺く職業です。

この板金職人の腕が現在、みるみるうちに落ちています。
かつては、曲げたり切ったりしながら、
取り付ける板金の加工を自らやっていたのですが、
現在では工場で加工したものを現場で取り付けるだけの仕事になっています。
だから職人自ら鉄板を切ったり曲げたり、現場に応じての細かい加工をしなくなった。
そこに板金屋の腕があったのだけど・・・。
もっとも、現在いろんな職人の仕事がそうなってしまっているが。

でも中には腕のいい職人が残っています。
僕が知っている中山板金はその一人。

写真の仕事は立ちハゼ葺きという簡単な仕事ですが、
でも中山板金がやるときれい。
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鉄板を挟む工具(ガチャという)で締め付けているところだけど、
締め付けた後が真っ直ぐになっている。

このくらいのことは簡単なことと思われるかもしれないが、
はさむのを飛ばしながらやるので、最近ではボコボコになっていることがある。

中山板金のガチャは長い、長いから真っ直ぐにきれいに仕上がる。
でも、長いガチャは当然重い。
重くてもきれいに仕上げるために、長いガチャを使ってもらえるのはうれしい。
せっかく頑張ってくれているのだからと記念写真を撮らせてもらった。

こういう頑張りを認めてあげるのも建築家の仕事の一つです。
でも職人さんはテレ屋が多く、顔をあげてくれなかった。
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新しい作品

2010.09.08

「泉さん、最近建物を作ってないの?」と言われた。
「えっ、どうして?」と聞いたら、
「最近、ホームページの作品が増えてないよね」とのこと。

いえいえ、作ってます。
ということで、ホームページの作品欄に最近の5~6軒を載せました。
見てみてください。

3泊4日巡業―7

2010.09.03

先週に引き続き桂離宮です。
桂離宮にはいくつも建物がありますが、共通するデザイン手法を発見します。
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左側の床の間から右の方へトン、トン、トーンと上の方に昇っていきます。
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これも同じように左の腰壁から段々と上がって、右側の大きな下地窓に至ってドーンとした開口部に至ります。
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建物と建物のつなぎの部分ですが、段差があってこれも右に上がっていきます。
このつなぎ方はよく見ると、手すり,階段などを使い絶妙だ。
この段差がなければ桂離宮全体のプロポーションはノペーッとしたものになっていたに違いない。
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これは玄関部分ですが、ここは珍しく左の方に段々と下がっています。

このように桂離宮では窓や棚、床などのいろんな建築的な部位がリズムカルに構成されています。
玄関だけは手前から段々と上に上がっていくのは当然ですが、僕が見たところでは右上がりが多い。
それはかなり推測の範囲内ですが、庭の回遊が右回りで、
歩く過程でドンドンと右上がりにして昂揚感を出す目論見があったのかもしれません。

誰か建築学科の卒論、修士論文に桂離宮のリズムについて書くと面白いかも。

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