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2011年08月の
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角叉のつながり
2011.08.24
角叉、つのまた、と読みます。
これが角叉。
角叉と言うのは海藻で、葉の先が二つに分かれて角のようになっているから。
食品にも使われるようだが、左官材料としても重要なものだ。
角叉を煮出したものを漆喰や土に混ぜることによって鏝の滑りをよくする保水効果がある。
で、何でこの角叉の話になったかと言うと・・・・、
現在仙台でやっている住宅の現場に石巻出身の今野さんという左官屋が入っているが、
この今野さん、家も、左官道具、材料もぜんぶ津波で流されてしまった。
そこで心配した全国に散らばる左官屋の仲間が、
今野さんが仕事ができるように左官道具や材料の一式を送ってあげた。
バケツはこのブログでも紹介したインチキ左官屋、こと植田さんが送ったようだ。
この現場で使う角叉も皆が送ってくれたもの。
僕の仕事まで恩恵を受けたわけだ。
被災者にとっては住まいも必要だが、
仕事ができないとどうにもならない。
仕事って生きることそのもの、仕事があればどうにかなる。
今野さんとの仕事は初めてだったが、
角叉で植田さんたち、今野さん、それに僕までつながっていた。
申し訳ない気持ちと同時に、たまらなく、うれしかった。
お盆はこんな車で旅したかった
2011.08.14
仕事場の駐車場にとまっていた車。
おっ!この車、ジャロジー(ルーバー窓のこと)が付いているではありませんか。
中をのぞいたら、流し台も付いていてキャンピングカーともして使えるようだし、
ジャロジーが付いているから風も入りエコ、そして安心して寝られる。
でも、蚊がいたら刺されるなー、と住宅作家らしい疑問がわいたが、
チャンと網戸も付いている、建築的車ではありませんか。
車のことはそんなに詳しくないのだけど、
この車、フォルクスワーゲンのタイプ2と言う1970年代の車で、
僕が最初に車を買った時に、友人から「泉さんはこれだよねー」と勧められた車だから、たまたま知っていた。
結局、この車は買わなかったけど、今見ると本当に楽しそうな車だ。
http://www.safetv.me/watch/ZWoJSIszc_s/VW-Buses-over-Skyway..Arrival-at-park.html
春を恨んだりはしない Ⅱ
2011.08.09
池澤夏樹さん、有名な芥川賞作家だけど、この人の名前はなかなか覚えられない。
知っているんだけど、どうしてもスッと出てこない名前の一人。
むしろ、昔の人だけどこの人のお父さん、福永武彦の名前の方はスッと出てくる。
で、なかなか思い出しにくい名前の池澤さんが、3.11の後、新聞で連載しているコラムがよく、いつも読んでいる。
池澤さんは昔、物理学を学んだ小説家だからか、明快な論理の展開を維持しながら、上っ面でない深いところまで話をもって行く。
反原発の論理で何時か書いた高木仁三郎さんもそうだけど、池澤夏樹さんの文もいい。
そう長くはない文なので、是非ご一読を。
次を開けると、「楽しい終末」「光の指で触れ」がDownn Loadができます。
http://www.impala.jp/3.11/index.html
何てことはなく・・・
2011.08.08
上の写真は何という木の木目だと思います?
建築関係者だったら知っているタモ(梻)の木目のようです。
しかし、これはペンキ職人があっという間に描いたフェイク。
この木目を描くのにスイスイと、1分とかからない。
前回書いた「家づくり学校」の生徒たちと見た、アッ!と驚く神業です。
この職人さん、木目だけでなく、石目(石の模様)などいろんな素材のテクスチャーをスイスイと書いていく。
つまり素材の特徴をとらえ、どのような道具で、どのように使えばいいかを考えだす才能があるんでしょうね。
僕はフェイクな素材は使わないけど、この才能には脱帽!
何てことはないんだけど・・・
2011.08.01
まずこの写真を見てください。
写真のコーナーはどのようにしてヘアライン仕上げにしたか?
不思議、と思いません?
建築の仕事をやっている人だったら誰だって知っていることだけど、
ステンレスの表面に細い筋、、髪の毛(つまりヘア)のような細い筋を、
ワイアーブラシで引っ掻いて表面を仕上げること、をヘアーライン仕上げと言います。
では上の写真の角の部分は綺麗にヘアラインがトメになっているが、
それはどのようにして仕上げたか?
まず考えられることは、
1.あらかじめヘアライン仕上げをしたパイプを45度に切断し、そして溶接した。
しかしこの方法だったら溶接あとが残り、このように綺麗にはいかない。
2.パイプを溶接した後、ヘアライン加工をする。
この方法では、果たして45度の止め加工部分がこのように綺麗にいくか?
先日「家づくり学校」の学生諸君と町工場の見学に行ってその答えが分かった。
答えは、結局2なのだけれども、
下の写真の道具を使ってやります。
まず片方のパイプに適当に広めにヘアラインを付けます。
次に、右寄り上の平たい板を、ヘアラインを施した方に45度の角度を付けて置き、
もう片方にヘアライン加工をする。
写真で見ると、
わかってしまえば、どってことないけど、
コーナーで二つの部材をつないだように見えます。
モノ造りの現場って面白い。
へー、こうやるの、と、
純粋な感動があります。
どこかでコーナーのヘアラインを見たら、
このことを思い出してください。