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2007年08月の
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一か八かで・・・Ⅰ
2007.08.30
山林の買付けなどの仕事をやる人のことを山師と言うらしいです。
今回の僕はまさしく、言葉通りの山師でした。
ムクの板のテーブルや床板はなかなかいいものです。
現在ほとんど合板、べニアでできています。
床の間の板などほとんどです。
しかしそのような板を突然手に入れるとなると簡単には手に入らないし、
足元を見られて高くなってしまいます。
そこで、たまたま良い丸太が出た時に買い、
5~6㎝の厚さの板に挽いてストックしておき、必要な時にチビチビと使い続ける、
といったことをしています。
なんたってこんな板が1枚でも家の中にあると、
建物全体の雰囲気も変わります。
「買いませんか」と、たまたま出てきた材木が直径1m、長さ2.5mのウォールナット2本。
ユダレが出るほど欲しい、品のある木です!
しかもウォールナットは大好きな木。
しかし、ウン百万円!
しかも製材してみないと、その材がいいかどうかは分からない。
中に洞(うろ)や、汚い節があるかどうかは、外から見ても分からないのです。
それは本当にバクチ。
しかしウォールナット好きとしては、とうとう手を出してしまいました。
大損をするかもしれないのに、です。
製材所ではドキドキ。
製材機の上にウォールナットの丸太が乗った時は、
ギロチン台に乗せられたような気分、でした。
製材をしてどうなったか、
大損か、大儲けか?
次回のお楽しみ。
シラキ・・・。
2007.08.24
現代の名工…
2007.08.17
の紹介です。
最近この人、上手い!思わせる職人がどんどん減っています。
すべてが手っ取り早く、簡単にいく方向に進んでいるからか、
気合も必要ない。
だから知力も減退し、下手になる。
ところで、名人というと何か神秘的な力を持っているように思われがちですが、
そうではなく問題は、この知力。
物事を順序良く適確に考え、それを積み上げる能力です。
今日、会った大工はそんな大工です。
ちょっとオシャベリ、でも照れ屋ですが・・・。
できる職人は、解説したがるから、それは仕方ない。
彼が今やってくれている現場の写真です。
実にきれい!美しい!
きれいに作れるとは、つまりキチッと収まっているわけで、
幾何学的能力があること、なんです。
次の写真はその拡大写真。
しかも、金物(部材と部材を緊結する金属)がいっさい見えませんが、
実は隠して、ちゃんとついています。
ところでこの大工はこのような仕事をどうやって進めたかというと、
実際の大きさ(原寸)をべニアの上に書き、
細かいところがどうなるか、寸法を当たっています。
ちゃんとプロセスを経て作っています。
その下小屋での写真です。
丸い穴は実際の材を固定するために開けたもの。
さらにもう一つの現場の、やはり下小屋での打ち合わせ風景。
なかなかいい面構えの大工さんです。
こんな大工がもっと復活することを祈りたい。
ミッションスクールの…
2007.08.12
建物は外人建築家によるものがかなりありす。
先日の聖心女学院のレツル、それからレーモンド、ヴォーリーズといった建築家です。
日本人の建築家に頼むより、
キリスト教の国から来た彼らに依頼するのは当然の成り行きだったのでしょう。
作風はコルビジェに代表される近代建築というより、
様式主義的色合いが強い。
しかし、なかなか美しい建物があり、
現在でも立派に使われているものがあります。
それで先日のレツルに引き続き今日はヴォーリーズ。
僕の好きな建築家の一人です。
戦前ヴォーリーズは宣教師として日本にやってきた。
なんと彼は薬の、メンソレータム会社も経営していたのです。
宣教師、兼製薬会社経営、病院経営、そして建築家。
こんな建築家はほかに聞いたことがない。
しかも建築家としても優秀で、
日本国内はもちろん、戦前は満州、樺太でも仕事をやっていて、
何千という建築を日本に残しています。
有名なミッションスクールの建物では、
「神戸女学院」、「関西学院」、東京の「明治学院礼拝堂」などなど、
日本全国に散らばっています。
学校建築だけでなく他にもいろいろやっていて、
例えば、京都四条の鴨川べりにある一風変わった建物があり、
気になった方もいると思いますが、
中華飯店の「東華菜館」もそうです。
ヴォーリーズは近江八幡(メンソレータムの会社の名は近江兄弟社)を拠点に活躍しましたから、
関西に多くの建物を残し、関西ではよく知られた存在です。。
外人にも関わらず地域で有名で、また愛される建築家は日本人でもそういないでしょう。
ヴォーリーズの建築を見ると近代建築に欠けた何かを見出すことができます。
まず、理屈抜きの美しさ、人々の共感です。
ヴォーリーズの建物で僕が特に好きなのは神戸女学院。
あんな学校で勉強できたらいいな~と思わせる建物です。
でも僕は絶対無理。
で、下の写真があこがれの神戸女学院です。
聖心女学院の・・・
2007.08.11
門の写真です。
先日、白金(東京都港区)で家を建てたいという方がいて、
敷地を見に行きました。
ずっと昔(もう40年近く前か)白金あたりを歩いていて、
偶然見た「聖心女学院の門」が印象深かったことを思い出し、
敷地を見たあと、聖心は確かこのあたりだったな~と、尋ねてみました。
もちろん妃殿下がご卒業なさった学校だけのことはあり、ガードは固く、
門より中にいることはできませんでしたが…。
この門のデザインはかなり特異です。
でも何か引き付ける力があります。
設計をしたのはヤン・レツルというチェコの建築家。
20世紀初頭に日本で設計事務所をやっていた人で、
何でかは分からないが、最後はプラハで自殺したそうだ。
ところでこのレツルが設計した建物はほとんど現存してませんが、
有名なのが広島の原爆ドーム。
彼は原爆がさく裂する前に亡くなっているから、
自作が後世、あのような運命をたどるなど思いもよらなかったでしょう。
期せずして、世界遺産を設計したことになるわけだ。
ところで聖心女学院の門は、和風の要素もあり、
アーチなどはもちろん西洋を思わせる。
またアールヌーボーやセゼッションも感じさせる。
さまざまな要素を一つの形にまとめ上げることができたのは並ではないようです。
かって日本にやって来た好きな建築家の一人に、
メンソレータムの会社もやっていたヴォーリーズがいるが、
彼の作品は結構残っている。
しかしレツルの作品はほとんど見ることができません。
もう少し残っていたら、と思う建築家だ。
先日もあったのですが…。
2007.08.08
拙作・泰山館を…Ⅱ
2007.08.08
見に来た大学院生のグループが感心していたことの一つに、
「小割りの窓」があった。
今、一枚ガラスの大きな嵌め殺しの窓が流行っている。
スカッとしてカッコよく、現代建築にはなくてはならないボキャブラリーの一つ。
僕も時々場所によっては使う。
ところがこの泰山館には「小割りの窓」が多用されている。
実は窓の大きさにはいろんな作用があって、
遠くの景色を見るには大きな一枚ガラスの窓を、
逆に近くに視線を持っていくにはこの「小割りの窓」が有効だ。
泰山館では、中庭の木々に視線を持っていくためのものだ。
これはその場に立って実感してみないとわかりにくいことだが、
写真でも多少は理解していただけると思う。
デザインというのは、ある程度の理屈がある。