2015年01月の
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延べ床面積1坪の家

2015.01.30

この建物、な~に?
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建物の間口は1間、奥行き1間の1坪(2畳)の小さな、小さな建物です。
入り口の障子は引き分けで、建物の外側にはみ出すようになっています。

横から見ると、
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中をのぞき込むと、
囲炉裏の両側にベンチ、奥に畳が1枚敷いてあります。
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中に解説書もありました。
かつて多摩川に橋がなかった頃、
渡しの船頭さんが客を待つ小屋だったとか。
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冬は寒いので、焚火をしながら待っていたのでしょう。
さらに読んでいくと、多摩川が増水するときは、担いで移動したとのこと。
モバイル建築だったんですね。

川崎市立日本民家園にあります。

而邸 ⅩⅥ 暖かいのが一番

2015.01.24

大寒は過ぎたけど寒さはまだまだ。

でも、我が家(而邸)は東南向きで朝日がよく入って暖かい。
午前8時ころは太陽高度が低く、家の奥まで日の光が入ってくる。
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以前、日当たりの悪いマンションに住んでたからか、
日の光のありがたさが身にしみてわかる。
寒い冬の朝でも、暖かな陽光に包まれた部屋にいると幸せな気分になる。

そのような体験をしているから、窓の取り方は以前よりさらに気になるようになった。

ところで、
家の向きや窓の位置をどうしたら、どのように日の光が室内に入るかをシュミレーションするいいソフトがあります。
グーグルでダウンロードできる無料ソフトSketchUp で、
建設場所をグーグルの地図から導き、建物をパソコン上で3Dで立ち上げ、
各日時時刻でどのように日が入るかを検討できる。
下の図はかつて建てた建物の9月の夕方の日光の当たり方を示したものです。
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7,8月はもちろん暑いが、9月の夕方は太陽高度が真夏より低くなり、残暑がきつい。
その夕方の太陽の光を遮るために、どの位置にどのくらいの高さの木を植えたらいいかを検討したもの。
また逆に真冬には、できるだけ陽光を入れるにはどのような窓の取り方がいいかを検討することもでき、庇やブラインドの効果的な設置方法を、各季節の各時刻で検討することができる。
ある程度設計の経験を積んでくると、SketchUp を使わなくとも勘で大よそのことはつかめるが、
正確には分からないもの。
入力が手間だけど、結構使える。

西芳寺 湘南亭☆☆☆ Ⅳ

2015.01.12

で、いよいよ今回の目的である湘南亭。
湘南亭は茶室。
利休の養子の千少庵によるものとか。

この湘南亭は池に沿ってしばらく左回りに進むと、数尺ばかり高いところにあり、見上げながら近づく。
見上げながら近づくことで、湘南亭が気高く見えるが、
やはりここでも高低差の妙。
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建物に至ると、屋根の下の土間がかなり広い中間領域となっている。
貴人口はそのまままっすぐ進むが、
その他大勢はまず吹きっさらしの縁に上がる。
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この茶室はかなり変わっている。
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定石からかなり外れていて、今時こんな茶室を設計したら依頼主に「こんなの、茶室じゃない!」と、叱られそう。
何がかと言うと、お茶をたてる主人の前に床の間がある。
お客からは床の間は本当に見えにくい。
でもこれは主人床と言って、一人でお茶を楽しむ場合にはあることのようだ。

室内の写真は撮らせてもらえなかったので、残念ながらここに掲げることができないが、
客人の席に座った時の、部屋を構成する各部位の絶妙な高さのバランスに感服せざるを得なかった。
感動を与える和室に共通することだが、
やはりここでも畳の表面から3~4尺当たりまでに、
手に掴みたいような濃密な空間が存在する。

しかも、貴人口の空いた障子からは、先ほど通ってきた小道を見下ろすことで、
時間化された空間ともなっている。

西芳寺の立地自体が起伏が始まる山のすそ野にあることで、
全体プランに高低差が生じることになったのだろう。

西芳寺、その中にある湘南亭の見学は、
何か本当に美味しい料理を頂いたような、その上に勉強までさせていただいた至福の経験だった。

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