2009年06月の
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まつけん?左官屋

2009.06.30

下の道具は何に使うと思います?
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刀のように先がピカピカ!
これも左官の鏝(こて)で、引き鏝といいます。
先は手が切れそうなくら鋭利。
この刃物のような鏝を使って左官の壁を仕上げます。
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この壁の仕上げ方は「大津壁」という伝統的な左官手法です。
写真では伝わらないと思いますが、
実際に見ると何とも艶やかな壁です。
現代建築ではめったに見ることのできない質感があります。

塗ってくれたのは三重県、四日市のマツケンさんこと、松木憲司さん。
この方の鏝は布の入れ物に行っています。
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水は木の桶を使っています。
桶をもった姿はいなせなお兄さんのよう、かっこいい。
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上手い人は仕事を、道具を大事にしている。
仕上がった壁です。
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硬い話だけど、たまには決算委員会なんてどうでしょう?

2009.06.26

木造の伝統工法に「石場建て(いしばだて)」というのがあります。
現在、木構造は土台と基礎をアンカーボルトで緊結することが法律で決められています。
しかし伝統工法は、石の上に柱を乗せただけの構造。
だから地震が来れば建物全体がずれる。
これを石場建てと言いますが、
一部の建築家の間でこの石場建てが免震に有効だと唱えられています。
つまり、ずれることによって地震力を吸収するわけだ。
しかし現在石場建ては法律で認められていない。
この問題について、国会が取り上げた。

常々建築関係の法律がどのようにして成立するのか興味がありました。
建築基準法が僕らの仕事に対して天の声のように降ってきます。
この法律はおかしいのでは、と思えるようなものが中にはあります。
だから、法律の成立過程について知りたいと思っていたのですが、
それを少しだけ垣間見ることができます。

参議院の決算委員会で石場建てが取り上げられています。
質疑者一覧中の、西田実仁氏(公明党)の欄をクリックすると見ることができます。
最初は防衛問題、その後に始まります。
回答するのは、大臣と住宅局長。

見ていて面白いのは、
石場建てがひょっとして法制化するのでは、
ということもありますが、
質問者と回答者の発言が、
専門家によって一つのストリーとして、すでに作られているのは明らか、
また大臣、局長、質問者の本音、背景はどこにあるのか等など、
政治についていろいろと深読みをしてしまう。

インチキ?左官屋

2009.06.22

まずこの写真を見てください。
左官屋が壁を塗っているんだけど、
この左官屋なんだか変と思いません?
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そうです、手で、軍手で塗っています。
現場に鏝(こて)を持ってくるのを忘れたわけじゃ~ありません。

これがなかなかいいテクスチャーなんです。
うまい左官屋になると、自由自在。

植田さんという淡路島の左官屋です。
今やっている現場に全国のそうそうたる左官屋が集まって塗ってくれました。

月面遊泳

2009.06.19

「かぐや」って知ってます?
日本のJAXAが打ち上げた月の衛星です。
その衛星を月面にあえて衝突さた。
その画像がハイビジョンで地球に送られてきました。
月には空気がないから、衝突の寸前まで燃え尽きることがない。
かなり低い角度で月面に衝突したようで、
映画を見ているよう。
是非フルスクリーンでどうぞ。

非線形をもった動的平衡

2009.06.18

以前に書いた福岡伸一さんの「生物と無生物の間」の次の本、「動的平衡」の紹介。
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・「…不可逆的な時間の折りたたみの中に生命は成立する。
生命を「部品の集合体」という物質レベルでのみ考えると、
時間の重要性を見失ってしまう。・・・」

・本の最後の最後の文「…私たちが線形性から非線形性に回帰し、
「流れ」の中に回帰していく存在であることを自覚せずにはいられない。」

・「生命、自然、環境ーそこで生起する、
すべての現象の核心を説くキーワード、
それが≪動的平衡≫だと私は思う。
間断なく流れながら、精妙なバランスを保つもの。・・・」

生物学は建築に関係なさそうに見えるけど、設計のプロセスはまさにこうあるべき、
と確信させる言葉だった。

コレデイイノダ

2009.06.15

僕が所属する会では、一年に一回、総会を近県のどこかに泊まり込んでやる。
もちろん総会は深夜まで続くわけでなく、温泉に入った後は懇親会、
そしてどこかの部屋に集まって飲み過ぎ、
というのが決まりみたいになっている。

今年は東京の檜原村の三頭山壮という旅館だった。
東京都下とは言え、檜原村は驚くほど山深いし、
標高も700メートルあるとかで、結構涼しい。
東京にこんなところがあるとは知らなかった。

この旅館の夕御飯がよかった。
20種類の山菜が出てきた。
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素材は旅館の方が近くで集めてくるらしい。

これまで旅館の食事には辟易としたことが多かった。
大体同じようなもので、
刺身に、天ぷらなどがズラリと座卓の上に並ぶ。
別にこんなものを食べに来たわけではないんだけどなー、
といつも思ってしまう。
しかしここの食事はここでしか食べられない素朴なもの、
それでいいんだよねー。

このねじり返った気持ち…

2009.06.10

地下鉄の網棚の上を見上げたら、
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ヒャー、ハサドさんジャン!
挟土秀平さんはカリスマ左官屋として売り出し中。

ほっ、ほー左官屋もここまでなったかと、
うれしいような、でも、いいのかなーと変な気分。
確かにハサドさんは一見、苦み走っているし、
焼酎のコマーシャルにピッタシのお顔、
だけどそれはそれとして…。

壊滅寸前の左官仕事の復興には、
このようなカリスマ左官屋を生み出すのも手、だ。
一方左官仕事はその地域の職人が、地域の材料で地域の風景を作ってきたことから考えると、
ちょっと違うんじゃない?と思ったりもする。
つまりリージョナルな世界なのだ。
ハサドさんのスタンスはカリスマ左官屋として消費されてしまいそう。

だけど、左官仕事はすでに地域の風景を作りだすものではなくなっている、のも事実。
と言って、その事実をそう肯定したくない気持ちもある。
う~~~~ん、ねじれ返ったこの気持ち・・・。
それは日本の住風景が抱えている大きな課題だ。

トイレ壁新聞

2009.06.08

事務所の壁にはウェブから印刷したものがトイレの壁にペタペタと貼ってある。
読んで、これは所員にも読ませたい、と思ったものを張っておく。
(読んでいるかどうかは知らないけど、時々話題になるからそれなりに読んでいるのかも)
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メルマガからのものでは、宇宙科学研究本部JAXA。
宇宙科学研究本部は”はやぶさ”のニュース以外に、研究者が替わり番子に書いているもの。
その中で海老沢 研さんのものが本当に面白い。滅多に書かないけど、海老沢さんのHPにも再掲載されています。
それから森本喜久男さんのメルマガ。
森本さんはカンボジアでクメールの絣を復元し、事業化している方です。
これはHPからなのだが、小説家の保坂和志さん。
保坂さんのは知的な刺激を受けます。

泉事務所のトイレはご覧になれないでしょうから、
よろしかったらネットで覗いて見てください。

コロコロPK

2009.06.03

少年サンデー、少年マガジン、懐かしい。
僕が、確か小学5年生頃に創刊された。
団塊の世代を対象に、ちょうど購買層が広がり発売されたのだろう。
最後に買ったのは、サンデーかマガジンだったかは忘れたけど、
確か「あしたのジョー」の最終回だったような気がする。

そして恥しながら今日、何十年ぶりにか少年マガジンを買ってしまった。

と言うのはTV「やべっちFC」の後の「GET SPORTS]で遠藤保仁特集をやっていていた。
遠藤保仁はサッカーファンなら誰でもご存知、「コロコロPK]のボランチ遠藤保仁。
TVと漫画の「W杯予選突破目前本格スポーツドキュメンタリー」コラボで、
遠藤保仁物語を少年マガジンでもやるとのこと。
乗せられて買ってしまったのだが…、
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これが、結構泣かせるんだよね。
僕が小さかった時にも「若乃花物語」「栃錦物語」「長嶋物語」なんてのがあった。
あのころは夢中になって読んでたんだと思う。

W杯予選もいよいよ大詰め。
できたら本戦の桧舞台でコロコロPKを決めて世界を驚かせる、
なんて思うだけでも楽しい。

左官礼賛

2009.06.02

一時、風前の灯だった左官仕事が、
ここのところ見なおされつつあります。

この機運を作ったのは一部の左官職人、建築家ですが、
もう一つメディアの役割がありました。
そのメディアの中でも最も中心的役割を果たしたのが、
雑誌「左官教室」、 「月刊さかん」の編集長の小林澄夫さん。
小林さんの役割は本当に大きかったと思う。

小林さんはこれまでにもたくさん本を出しておられるが、
新しい本「左官礼賛Ⅱ」が出た。
その朝日新聞の書評、と本の表紙。
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小林さんは思想家、哲学者と言ってもいい。
現代に「左官仕事」を蘇らせることは、
現代社会への挑戦、なのだ。

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