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次期アパートメントシリーズ

2018.08.03

今設計している集合住宅には、建物のど真ん中に上下階をつなぐ吹き抜けの階段室があります。

この階段室は直径約5mのシリンダーで、真ん中が吹き抜けになっていて、最上部には直径2.5mのトップライトがあり、光が落ちてきます。

この集合住宅の見せ場と言ってもいいところで、入居者は一度この階段室を経て自分の部屋に入ります。
真っ白な幻想的な空間を目指しています。

ただこの空間をイメージするのは難しい。
30分の1の模型を作って、あーでもない、こーでもないと試行錯誤。

シリンダー部分を外から見た模型です。

この模型は二つに割って開くことができます。

完成は来年7月。
リキ入ってます!

猛暑はリージョナリズムで

2018.07.25

事務所への行き帰りのうち、6キロほどを徒歩にしている。。
もう1年くらい続いているが、休んだのは2~3日くらい。
おかげで体調は絶好調!
ところでこの猛暑でのウォーキングは大変。
事務所に着くころには、汗で下着がべっとりとまとわり付き、こんなに暑い中を歩いていてホントに大丈夫なのだろうかと心配になる。
TVでは盛んに「命にかかわる危険な暑さ」だとか言っている。

ところで、もともと夏になると事務所へは半ズボンに、ビルケンのサンダルで通っていた。
この格好で、事務所だけでなく、会合や、現場にも行っている。
とても夏、ズボンをはき、革靴をはいて、というのは耐えられない。
今日は、事務所へ歩いている途中、麦わら帽子を売っている店があっ買った。
帽子は日除けになるという話を聞いていたので、思わず買ってしまったのだが、それなりに効果がある。
頭の中が蒸れる心配があったが、そうでもない。
というわけで、夏のスタイルは半ズボン、サンダルに、麦わら帽子が加わり、これに捕虫網が加わったら、もうほとんど夏休みの少年スタイル。
実は地鎮祭も、打ち合わせにもこの格好で行きたいのだが・・・。
どんな格好であろうと、建築設計の能力も、ヤル気も変わらないんだけどね。

こんなに暑い時向けの涼しい正装はないものだろうか。
沖縄の知事さん、インドネシアの大統領の、涼しそうな正装姿をTVでよく見る。
知事さん、大統領が半ズボンやサンダル、麦わら帽子ではまずいかもしれないが、日本でも何かいいスタイルはないものだろうか。
もっとも泉としてはお偉いさんが半ズボンでもチッとも構わないんだけど。
恰好じゃだまされないから。
むしろ半ズボン姿の議員さんの国会の方が、正直に本当のことを言う国会答弁になりそうな気がする。
スーツは多分ヨーロッパから入ってきた近代、ユニバーサルなもの。
亜熱帯の日本にはリージョナルな格好があっていいはず。
建築だってリージョナリズムという考えがあるではないか!

なんて理屈を考えながら毎日この格好で、事務所に通っています。

2018.07.21

事務所へ行く途中発見!
外壁にハの字型の変なものがついている。

外壁を壊さずに、耐震補強かー。
成る程、こんなのもありだよねー。

最近読んだ本 Ⅱ

2018.07.11

読んだというより「見た」本。
NHKの日曜美術館で聞いたことのない名前の画家をやっていた。
不染 鉄(ふせん てつ)という日本画家。
一目見て、スゴイじゃん、こと人!、一瞬にして虜になった。
画集がないかと探したら、そんなに知られていないのか、あるのはこの一冊位。
不染鉄之画集
この人の絵、文人画の流れにあるようで、生き方がいい。
「有名になれずこんな画をかくようになっちゃったけどいヽよねえ」
と書いたりしている。
でも、この人、これから結構有名になるような気がする。
お顔もいい。
どんな絵かは本を見てください。

もう一冊は「近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻」 著者は山本義隆。
僕らの世代だと、あの山本さんかとピンとくるが、元東大全共闘の委員長、日大の秋田明大と並んで1968を引っ張ったカリスマ的リーダーだった。
山本さんは予備校の講師をしながら科学史を研究していて磁力と重力の発見〈1-3〉 全3巻セットという大部の著作などがある。
その山本さんの科学技術から見た近現代史。
近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書)
同世代だから読みたくなったというのでなく、世代を超えたて読まれるべき本。。

最近読んだ本

2018.07.05

一冊目は、「合成生物学の衝撃」。
すでに、一から人為的に合成した生命体ができていることをご存知ですか?
その写真です。

この生物に親はいない、進化の長い系統樹から外れた全く特異な存在で、人間がデザインした人工のゲノムであるにもかかわらず、子孫にそれ受け継ぐことができる。SFのような世界。
いまや、コンピューター上で新たな生命のゲノムを設計するという、ダーウィンの理解を超えた世界が開かれようとしている。
そんな衝撃的なことを書いた本です。
合成生物学の衝撃
内田樹さんの本はいつ読んでも新しい知の枠組みを開かせてくれる。
「人口減少社会の未来学」、人口減少は建築の世界にも大きな影響を及ぼすことは目に見えている。
若い建築設計を目指す人には是非読んでもらいたい本。
自分たちがこれからやらなければならないことは何か、このような本からそれは導かれるかも。
内田さんが編・著で人口減少に関していろんな分野からの視点が面白い。
人口減少社会の未来学

白井聡さんの「国体論 菊と星条旗」。
友達に、何読んでるの?と聞かれて表紙を見せたら、ずいぶん右翼っぽい本だね、と言われたが、内容は読んでみないとわからない。
真逆なんだけど。
「論」なんです。
以前にも白井さんの本は紹介したことがあるが、「永続敗戦論 戦後日本の核心」の白井さん。
国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

今出ている雑誌

2018.07.03

住宅雑誌「チルチンびと」2018年夏号に、
泉幸甫建築研究所で設計した住宅が掲載されています。

表紙の家がそうです。
興味のある方はご一読を。

蔦屋敷

2018.06.21

自宅から駅に行く途中に蔦ですっぽりと覆われた家があった。

郊外ならあり得るかもしれないが、豊島区は南長崎の駅の近く。

先日、多分区役所の人らしき方の立会いの下、この蔦の取り除き工事が行われていた。
蔦をはぎ取ったら正面はガラス戸で、中が見えるようになった。
建物は何と、かつて薬屋だった。
リポビタンDやアリナミンの箱が陳列ケースの中に並んでいた。

池袋から二つ目の駅の近くで、地価はそれなりにするはず。
空き家問題は郊外だけと思っていたが、
身近でも起こることになったようだ。

Apartment鶉(じゅん)

2018.06.11

2002年、目白に完成した集合住宅Apartment鶉(じゅん)です。
一昨日見学会があり、参加者の方が撮ってくれた写真です。
16年経ち、深みが出ていい感じになりました。

Apartment鶉にはビオトーブの池があり、池の中やその周辺にいろんな生物が生息しています。

今、水連の季節です。

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この花、本物?

2018.06.07

仕事場へ行く途中にある小学校の生垣にこんな花が今、真っ盛り。
花に光沢があり、一瞬、これ造花?と思わせるほど、ツヤツヤに光っている。

写真で見るよりもっと光沢があり、水中花のビニールで作った花びらのようだ。
しかも花びらは単調に中心から規則正しく並んでいる。
何かいやだなー、こんな毒々しい単純なものは造花に違いないと思い、触ってみたら、少し水分を感じた。
本物だった。

調べてみたらマツバキクというアフリカ産の多年草とのこと。
子供がいる場所だからこのような単純なものが分かりやすくていい、と考えて植えたんだったら、それはちょっと違うと思うんだけど。
まっ、好き好きだからと言ってしまわれると、答えに窮するんだけどね。

今、出ている雑誌

2018.05.25

泉幸甫建築研究所で設計した建物「八雲」が
新建築社「住宅特集」6月号に出ています。

カクレキリシタン

2018.05.22

京都に有斐斎弘道館(ゆうひさい こうどうかん)という建物がある。
江戸中期に皆川淇園(みながわきえん)という儒学者の屋敷。
現在の弘道館は、江戸から大正にかけて作られた和風の建物で、今や少なくなりつつある京屋敷を保存し、その景観や文化を守る活動をしている。
この建物を訪ねる機会があった。
まず驚いたのは、日本文化を守り広める活動の場所にもかかわらず、案内して頂いたのがチェコ出身の美人のクリスティーナさんで、日本語が達者で、日本文化もよく理解しておられる。
しかも展示というか、設えが、面白い。
仏壇があるんだけど何か変。

仏像でなく、マリア様が置いてある。
クリスチーヌさんが、「カ・ク・レ・キ・リ・シ・タ・ン」だって。

さらに掛け軸が床の間に飾ってある。

よく見ると、これ、藤田嗣治ジャン!
フジタを掛け軸か、面白い!

自由自在。 😛

家づくり学校第10期

2018.05.03

泉が校長をやっている家づくり学校、第10期の案内です。
大学を卒業し、多少の建築の経験のある人がもう一度学びたいということで、
多くの人が入学し卒業していきました。

おおむね1か月に1回ほど、4年間、座学もあれば見学もたくさん、それに修学旅行まであるという、楽しく、それでいて住宅設計の実践の本質を学ぶ学校です。
興味のある方は是非、是非。
家づくり学校

滋賀へ Ⅴ 角大師

2018.05.02

京都に行くと民家の玄関の上にこんなお札がよく貼ってある。

普通のお札とは違って、角が生えてるし、人を迎える玄関に貼るのはどうかなー、と思う一方、この鬼、ちょっと可愛くて、印象に残るものがある。
このお札はどのお寺で売っているのだろうと思っていた。
そうしたら、比叡山の横川(よかわ)の元三大師堂(がんざんだいしどう)に行ったら、突然目の前に例の”鬼”の石碑が。
気になっていたものがあった、ここだったのか!

良源というたいへん偉いお坊さんがかつて比叡山にいて、根本中堂を再建したりし、延暦寺中興の祖と呼ばれる人らしい。
その良源が疫病が流行った時に、鬼の姿に化して疫病神を追い払ったが、その時の姿がこのお札の元になったらしい。
良源は「角(つの)大師」とも呼ばれ、この魔除けのお札の名前の由来になった。
何となくお札の由来とそれを売っているお寺がわかって、一つ課題が終わった感じ。
ところでこの角大師のお札にはもう一枚、悪魔降伏というお札とセットにして売っていて、こちらは家の中に貼るものとか。

滋賀へ Ⅳ 坂本その2

2018.04.26

前回紹介した琵琶湖湖畔の町、坂本は比叡山のお坊さんの住まいがあったところ。
えっ?比叡山のお坊さんって、比叡山に住んでるんじゃないの?と思われるかもしれない。
僕もそう思ってた。
比叡山の山の中にいるお坊さんは修行中の人らしい。
山の上の生活は千日回峰などで知られるように「論湿寒貧」(ろんしつかんぴん)と言われる厳しいもの。
だから年を取って、体が弱ったお坊さんは下の温かいところに降りて住んだのが坂本。
山の上の方を「山坊」と言い、下の坂本を「里坊」と言ってたらしい。。
その坂本の里坊の街の石垣は、もちろん地元の穴太衆によって築かれたものだ。

その里坊の一つ「旧竹林院」を見た。
この庭がなかなか素晴らしい。
ランドスケープ的、庭園。

苔むした地面に美しい木漏れ日が落ちていた。

滋賀へ Ⅲ

2018.04.24

比叡山から琵琶湖に向かって降りると坂本という町に出る。
その坂本という街が面白い。
まず、明智光秀の居城があったところ。その坂本城は背に比叡山、前面に琵琶湖、現地に立ってみるとここが天然の要害を備え、たまた交通の要所で戦国時代、重要な拠点だったことがわかる。明智光秀は主君・織田信長を討ったことで、評判がよろしくないが、現地では、領民を愛して善政を布いたといわれる。
またこの坂本、街に行ってまず目につくのが、屋敷を囲うように綿々と美しい石垣が連なる景色。


実は今度の修学旅行の大きな目的の一つは、この石垣を見ることにあった。
坂本には穴太衆という石工集団がかつていくつもあったらしいが、現在は粟田純徳さんという親方だけがその技を引き継いでいる。
日本の城の石垣を直せるのはこの方しかいないらしい。
坂本の街の石積みを見ながら、栗田さんに石積みのことをいろいろと聞かせて頂いた。

実直そうな方で、深く石積みを愛し、その伝統を守ることの責任感を持っておられることをひしひしと感じた。
ところで、この粟田さんのところに、今年卒業したばかりの日大の教え子が弟子入りした。
そしてその子は何と女の子!
私、石工になりたい!という夢に向かって頑張っていたが、粟田さんの下でそのスタートに立つことができたわけだ。
今頃は、もう働き始めていると思うが、厳しい修行に耐え、日本の重要な文化の一つの後継者になってもらえたら、と願っている。

滋賀へ Ⅱ

2018.04.11

泊ったのは延暦寺根本中堂のすぐそばにある宿坊。
朝起きたら眼下に琵琶湖がわっと迫ってくる。
信長が比叡山を焼き払ったのは、叡山にはかなりの軍事力があり、見下ろす琵琶湖の水上交通を抑えてたらしい。
琵琶湖とその周辺の陸路は当時、交通の要所。

比叡山の山の上から見ると、なるほどね、とわかる。
信長叡山焼き討ちは、天下平定の野望の戦略上、そうせざるを得なかったのだろう。
凄いやつだった、と感心。

起きたら根本中堂に行く予定になっていて、
座禅でもさせられるのかと思ったが、
簡単な説教のようなものがあったのみ。
根本中堂は改修中。
確か中学の修学旅行できたはずだが、まるっきり記憶にない。
始めてきたようなもんだ。
この建物の断面計画が面白い。
信者が拝むところから、一旦3メートルぐらい下がった石畳になっていて、本尊はその上に、参詣者と同じ高さになるように安置してある。
こんなの見たことない。
でも、よく考えれば、お釈迦様の教えにはちょっとだけでも近いのかもしれない。

根本中堂が修復中だったことが、延暦寺は西塔がよかった。

滋賀へ Ⅰ

2018.03.31

「家づくり学校」には修学旅行があります。
毎年3月に行われ今年で7回目。
とっても楽しい旅行で、大体二泊三日。
建築が好きなもの同士の旅行は本当に楽しいもの。
1年目が愛知、三重。
2年目が秋田、青森。
3年目が石川、金沢。
4年目が京都。
5年目が岡山、兵庫。
6年目が高知、愛媛。
そして今年は滋賀県と、日本中を回る予定で、何時かは海外にも遠征したいと思っている。

まずは近江八幡の古い街並みを。

いろんなところに行っては昔の看板の写真を撮っていて、いつかまとめて発表できたらと思っています。
醤油屋の看板ですね。

おおー、何とも面白い破風。

そのほか、近江八幡はメンソレータムも製造販売していた、建築家ヴォーリーズの根拠地で、彼の家、かわらミュージアムなども見学。
夜は比叡山、延暦寺の宿坊に宿泊。
夜は遠くに夜景の灯がチラチラと見え、京都?かと思っていたが、朝起きたら眼下に琵琶湖が。

比叡山というと京都というイメージがあったけど、どちらかというと琵琶湖に面しているんですね。
琵琶湖の日本の歴史に及ぼした影響が、この旅行で段々と実感できた。

ロマネスクを訪ねてⅨ バルセロナへ横道2

2018.03.02

バルセロナで感銘を受けたのはサクラダ・ファミリアもあったが、もう一つ、古い建物のリノベーションがうまい!と感心したこと。
この旅行から25年たち、いまや日本でもリノベ流行り。
石造は寿命が長いからヨーロッパではリノベして使い続けることはわかっていたが、それは単に傷んだところを修繕して使い続けるだけでなく、既存を素材として扱い、さらに良くなるようにしていること。
創作とも言っていいくらいの関わり方を建築家はしている。





ここでまた本の紹介。
最近のリノベ流行りは、新築がなくなって建築家がリノベに仕方なくはしらざるを得なくなったきらいがないでもない。もちろんそれはそれとして、既存の建築をスタート地点と考えることで、さらにより豊かな建築を作れる可能性がある。
そんなことを書いたいい本が出た。
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歴史家がリノベについて書くとどういうことになるか、まずはそれに興味があったが、歴史家が書くことでよりリノベの意義があらわになったのではないか。
建築家の仕事の新しい位置づけの可能性。

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