一生に一度しか流せない涙

2010.02.15

この季節になると各大学の建築学科では卒業設計の審査会があります。
学生にとって卒業設計は一生に一度のプライドをかけた戦い。
優秀な作品には賞が贈られ、また全国の卒業設計制作展に出品されます。

今年は集合住宅の作品が多かったが、
その中でも審査員の先生に人気があったのがこれ。
圧倒的な、1メートを超える模型です。
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上の作品のコンセプト模型がこれ。
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全体の形から小さなスケールに至る、段階的なプロセスを経た思考があったことが成功した原因のようだ。

ただ、先生ごとに審査の基準が違っているから絶対的なものはないはずで、
実際に設計しているプロの先生に人気があったのはこれ。
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ところで僕が一番評価したのは次です。
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疲弊した地方都市の再生を考えたもので、街全体をホテルに変える案。
レンガの街にふさわしく、レンガの塀をグルグルと繋げて、
もう一度街並みを再構成している。
歯抜け状態になった敷地は広場になったり。

学生の案はどれもそのままやれるものではないが、
現状を批評的に見、こうやったらよくなるのではとの提案だ。
日頃、リアルな世界に埋没させられている自分にとって、
卒業設計の審査は楽しい一時だ。

ところで、賞をもらった学生の中には感激のあまり涙、涙の子もいます。
頑張って報われた、いい涙、いいな~!
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