地震Ⅰ

2011.03.15

地震が起きた時、事務所で構造設計者と打ち合わせをしていた。
前ぶれの縦揺れはほとんどなく、大きな横揺れがいきなりきた。
僕の事務所の建物は古く、東京オリンピックのころにできた建物。
だから大きな地震が来れば危ないと日ごろから思っていた。

ゆっくりと大きな揺れだったが本棚が倒れるでもなく、
また事務機器が移動することもなかった。
建物が崩壊するにはこんな揺れくらいではまず起きない。
でも、所員はかなり焦ったようで、「先生、外に出ましょう」と促され、
皆で事務所が面する明治通りに飛び出した。

明治通りには10階くらいのマンションが建ち並んでいるが、
上のほうがグラグラと揺れている。
構造設計者のH氏はその様子を見て、「剛性が低い[E:angry]」などと解説。

そのうち明治通りは帰宅者や、避難場所に指定されている近くの学習院へとぞろぞろ歩き始めた。

学習院へは野次馬根性もあり行ってみることに。
Dsc_0015
若い人ばっかり。
会社から避難するように言われたのかなー。
本チャンではお年寄りはどうやって避難するのだろう。

4時から板金屋との打ち合わせがあったので、
事務所に戻る。
打ち合わせをしながらも、まだ余震でたびたび揺れる。
所員に「先生帰りましょうよ」とまた促される。

俺は「ここで死んだら本望だ」と見えを切る。
もう大丈夫との確信もあったが、
胆力、根性が違うワイ、と内心ほくそ笑む。
それにしても僕はやっぱり事務所が好きなのだ。

先に所員を返し、一人で明日の講演会のパワーポイント作り。
用意も終わり車で家路についたが、
明治通りは帰宅者で人の波。
歩きの人を横に見ながら車で出たものはいいものの、車が動かない。
表通りは歩行者と同じ速度でしか走れない、しかし裏道はガラガラでスイスイ。
それでもわずか3~4kmを1時間以上かかった。