カラマツの壁

2017.05.07

サンフランシスコから金門橋を超え、北の方に車で4時間ぐらい行ったところにシーランチ・コンドミアムという、建築家の間では有名な建物がある。チャールス・ムーアという建築家が設計したもので、50年ほど前の木造の集合住宅。アメリカでは国宝級の扱いの建物。

学生の頃、超話題の建物だったが、見れるもんなら見てもいいか位の、そんなに積極的に見たい建物ではなかったが、たまたまサンフランシスコからボストンに行く飛行機に乗ることができずに、一日予定が空いてしまい、じゃーシーランチでも見てみるかと、タクシーの運ちゃんと料金交渉をし、見に行くことになった。

建物の前まで来てやはりわざわざ外国から来て見る程のものではないな、思っとた。しかし良かったのはレッドシダーという杉を壁、天井にぐるりと全部使った空間がよかった。開口部も抑えて一方向だけからしか光が入らないので、何とも空間に深みがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく時間が経ち、シーランチのレッドウッドのことは忘れていたわけではなかったが、昨年愛媛県に用があり、たまたま道路沿いの材木屋でこのレッドシダーの壁材を売っているのを見つけた。見れば見るほどに美しく、あのシーランチの壁、天井の美しさがムラムラと思い出された。

しかしメチャ高く、また自分にはできるだけ国産材を使いたい趣旨もあり、躊躇していた。そんな時、国産材であるカラマツの無節と出会い、その製材の仕方ではあのシーランチ風になるのではと、チャレンジしてみた。そうしたらお試し程度の面積だったが、これからもっと大々的に使っていけそうな、うれしい結果が出た。