石造りのように柔軟な

2018.02.03

紹介せずにはいられない、「石造りのように柔軟な」という変わった題名の本です。
この本は北イタリアの伝統的集落、建物の調査報告書みたいなものだけど、ちっとも堅苦しくはない。
へー、そうなのかと、新しいものの見方が散りばめられている。

それにしても、なぜこのような本が東洋の果ての日本で翻訳されたのか、読んでみてよく分った。
近代化によって人間と環境のなじみ深さが失われつつあることへの喪失感には、今や絶望感すらあるが、それはイタリアでも同じことらしい。
ヨーロッパの国々は日本に比べたら、まだましだと思っていたがが、そうでもないらしい。
ところでこのような本は、ややもすると牧歌的なノスタルジアに終わることが多い。
しかしこの本はかつての集落のありようをきわめて冷めた目で、なぜこのような形態になったかを実体の観察の中から解き明かしている。
北イタリアの美しい景観が表層的な理解では解き明かせないもので、実は日常の人間の生存と環境との深いかかわりのリアリティーの中から生み出されたものであることを理解させてくれる。
それは、美しさと生活のリアリティーとの関係、この問いへの解明を一歩進めさせてくれるかもしれない。
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この本を読みながら、じゃー、現代の僕たちは建築や街づくりをどう考えたらいいのだろう、と思った時に、やはり帰り着いたのがこの本。
この本も生活のリアリティーに根差している。
名著中の名著ですね。
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またもう一つ、日本の美しい茅葺屋根が人や地域とのかかわりのリアリティー中から生まれたものであることを解き明かした名作がある。
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