ロマネスクを訪ねて Ⅰ
2017.08.22
西洋建築で好きなのはロマネスク。特に西暦1000年から1200年ころのフランスの修道院には心を揺さぶる美しさがる。
初めてフランスのロマネスク建築を見たのは1993年、もう24年も前。
これまでの海外旅行で最も感動した旅だった。
感動は自分が全く知らない世界を始めて体験した時に訪れる。ロマネスクの中でもフランスのシトー派の修道院建築は、僕が知らなかった新しい世界をプレゼントしてくれた。
今、ロマネスクについて書いてみたいと思ったのは、「石と光 シトーのロマネスク聖堂」という写真家、六田知弘さんの素晴らしい写真集に最近出会ったからだ。
ロマネスク建築は建物の多くで石の肌をそのままむき出しにしている。
建築の材質は石のみ、と言っていいくらい。
私たち日本人にとって、石でできた建築は人を撥ねつける硬質なものと思われがちだ。
しかし実際に見たロマネス建築は全く違うものだった。
硬さを感じるどころか、石の肌合いは優しく、石でできた空間は優しい光に包まれ、人を優しく抱いてくれるものだった。
六田さんの写真集はそのようなロマネスク建築の世界を十分に表現している。
これから数回にわたってロマネスクの旅について紹介したい。
本当は六田さんの写真を使うことができればいいのだが、著作権があってそういうわけにはいかないから、泉の写真で我慢していただきたい。