ないのが当たり前になっていく・・・。

2010.05.11

大江戸線、新江古田駅の前に白井晟一邸、虚白庵(こはくあん)がある。
正確には、あった。虚白庵が壊されたのだ。
建築家、白井晟一は僕らの世代にとって教祖的存在だった。
当時、この虚白庵の門の前で弟子になりたくて毎日座り込んだ者もいたくらいだった。
僕の友人で、白井晟一が亡くなった時、三日間も泣き続けたのもいた。
そのくらい白井晟一は僕らの世代の建築家に影響を与えた建築家だ。

だから虚白庵は僕らにとって聖地みたいな存在だった。
虚白庵に一度は入って見てみたい、と多くの建築家の卵たちは思ったものだ。
入れないならと、隣のマンションの屋上から覗き込んだり…。
入ったことのある者は、それは自慢げだった。
僕が見せて頂いたのは白井晟一の息子さんの代になってからだったが、
やっと念願叶い、大層うれしかった。

その虚白庵が壊されてしまったのだ。
壊されるという噂は聞いていたが、
ある日、当然あるはずと思っていた建物が、
パッツ!となくなっている。
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新しい建物、マンションでも建つのか、
テントを張り、地鎮祭をやるようだ。

なくなった風景を見た時はショックだったが、
その前を、その後も時々通るが、段々「ない風景」に慣れてしまっていく。
そんなものなのかな・・・。
なんだか人の死に似ている。