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鯆 この魚どんな魚?

2021.08.17

寿司屋に行くと魚偏の漢字を書いた湯飲みや看板がよくある。
それを見ていたら鯆という字があった。
自分のことで申し訳ないが、名の幸甫の甫に魚がついた字があることはこの年になるまで知らなかった。
で、この字、何と読むか? 調べてみたら、
へー、イルカと読むのだそうだ。

ホトトギス

2021.07.22

茶会の席に飾る花を茶花(ちゃばな)といいます。
花屋さんで売っている花はどういうわけか、バラを始めとして洋物ばかり。
東京でも茶花を売っているところは僅か。
日本の茶花はもっと知られていいと思うのだが…。

その茶花の一つに「ホトトギス」があります。
鳥のホトトギスの胸毛に似ていてこの名前がついたとか。
前々からこのホトトギスを庭に植えたいなー、と思っていたが、
苗をネットで売っていることがわかり、
昨年 、5~6種類のホトトギスを敷地のあちこちに植えた。
ホトトギスにもいろんな種類があるようだが、
道路側に植えたホトトギスの一種「富士の雪」が最近、見事に花を付けた。
凄い!!

切って床の間に飾ろうかと思ったが、
切るのは忍びなく、そのまま道路に面して咲いている。

こくり、こくり

2021.07.13

私の事務所のある建物、「あとりえずbldg.」には、道路に面してベンチがあります。
古い鉄道枕木で作ったもの。
このベンチは 道路と建物の間のさり気無い結界になっていますが、実際に通りがかりの人に自由に休んでもらえれば、という思いもありました。
しかし、ベンチを作ったものの、本当に道行く人に利用してもらえるか、心配だった。
利用してもらえなければただの格好だけに陥る。
ところが意外と利用してもらえていて、特にお年寄りが腰かけて利用している。
下の写真はまだ肌寒い春先の頃のものだが、こくり、こくりとする人もいた。
このような仕掛けは設計者の思いと、実際は結構ずれることがあるが、このベンチは生うまくいった。

リコカツ

2021.06.23

つい最近まで、 TVで 「リコカツ」というドラマをやってた。
泉さん、リコカツというTV番組しってます?
泉さんが作った「泰山館」がロケ地になってますよ、
と教えてくれた人が何人もいた。
しかし、TV大好き人間だけど、ドラマはめったに見ないから、聞くまで知らなかった。
TVの画面の写真です。

ドラマ上の咲と紘一という二人が(くっ付いたり離れたりしたようだけど) 住んでいるマンションとしての設定だけど、
そのマンションは目黒区の東丘にあります。
僕が、もう30年前に設計した集合住宅です。
不動産業界ではビンテージ物、とか呼ばれている人気のマンション。
ただTVでは部屋の中はセットのようだった。

バレンボイム

2021.06.07

EPSON MFP image

バレンボイムは大ピアニストにして大指揮者。
現在78歳のユダヤ人で、人生が小説、映画になるくらいにいろいろとあった人だが、
ただ幼少のころフルトベングラーに天才と言わせたほど音楽的才能に恵まれていた人だ。
オペラを指揮した次にはベートーヴェンのピアノソナタ全曲、ピアノ協奏曲全曲をやり、
すぐにまたオペラをと、それも全部を暗譜でやるという超人。
エンジェルスの大谷君が勝利投手になった後、次の日にホームランを打つようなものだ。

そのバレンボイムが、このコロナ禍の中、サントリーホールで、ベートーヴェンの最高傑作、後期のピアノソナタ3曲のコンサートを開いた。
クラシックのコンサートはこのところコロナでなかなか行けず、昨年の3月に アンドラーシュ・シフ のコンサートを聞いて以来。
生、リアルの音はやはりいい。
CDで聴くのとはまるっきり違った世界だ。
細かいフレーズが本当によくわかるし、音がメッチャ美しい、キラキラ輝いていている。
一音一音にイメージが込められ、それを曲全体にわたって、 繊細に緻密 に上下左右前後 関係から練り上げて構成しているのが聞こえてくる 。
しかし、考えに考え一つの音楽を練り上げても、
血肉化し自分のものにしていかなければ音楽にならないない。
これができるのは世界のほんの一握りの天才。
そのような音楽を聞いていると、いつしか音楽と自分が一体となって忘我の世界に入ってしまう。
それこそが音楽の愉悦、幸せな瞬間だ!

そのような世界を作り上げるのは、建築にも通じていると思う。
一か所一か所の小さなディテールをおろそかにしては美しい建築は作れない。
前後左右上下の関係を粘り強く考え続け、全体を構成する・・・・・。
と言葉で言ってもね。

バレンボイムの泉愛用の素晴らしいCDを紹介します。
バッハ 平均律クラヴィーア曲集 全曲
モーツァルト モーツァルトピアノ協奏曲20~27番(特に21番)
ベートーヴェン ベートーヴェン ピアノソナタ全曲(特に30、31,32番)


「家づくり学校」13期募集中

2021.06.01

泉が校長を務めています「家づくり学校」13期の募集が始まっています。
大学では教わることのできない、全く異なった視野に立った建築の考え方、実践を学んでいます。
また7月12~18日は「家づくりギャラリー」で学校展&入学相談会を開きます。
「家づくり学校」に興味がある方はぜひのぞいてみてください。
(学校展については、下のチラシの最後に書いてあります)

岩絡み

2021.05.28

いま紫陽花が美しい季節。
御呼ばれで行った家の庭にも、とっても美しい紫陽花?が咲いていた。
ワーッ、キレー!と思わずつぶやく。
紫陽花に見えるのだが、よく見ると何か違う。
第一、花弁(本当は装飾花と呼ぶらしい)が一枚しかないし、
普通の紫陽花の葉っぱとは違いギザギザ( 鋸歯) がある。

そこで木や花の名前がわからないときにいつも頼るのが、
「このきなんのき」という樹木鑑定サイト 。
名前がわからないときに写真を入れて投稿すると、
見た人が教えてくれ、人のやさしさも感受できるうれしいサイトです 。

そうしたら答えてくれた方が二人いた。
「ツルになるアジサイの類ですが、白い装飾花が4枚ならツルアジサイ、これは1枚なのでイワガラミ」
「名前の通り、岩に絡むイワガラミ」とのこと。

それにしても、もう少しかわいい名前がないのかなー。
イワガラミでは少々イメージが違うけど。

小布施 □―

2021.05.23

長野の建設会社の社長に、「泉さんゆっくりして行ってよ!」
と引き止められ、小布施に立ち寄ることのになった。
小布施には随分昔、行ったことがあるが、
昔のことで、記憶がはっきりしない。
しかし、小布施の町は建築家の宮本忠長さんによる素晴らしい景観づくりの街、
ということは知っていた。
実際見て、 宮本さんはいい仕事をしたなー、と感激。
小雨で、夕暮れ時、さらに、コロナ禍で観光客は全くいないこともあり、
そんな幸運にも恵まれ、小布施の町を堪能することができた。
もちろん宮本さんの力だけでなく、町の人々の思いがあればこそ、
このような景観づくりができたのだろう。
で、歩いていたら立派な、美しい窓の蔵ががあった。
桝一という酒屋の蔵らしい。
この酒屋も街づくりに多大な貢献をしたに違いない。

桝一の店先に下の写真のような瓶が飾ってあった。
以前、どなたかにもらったことのあるお酒で、
アッ、ここにあった!!と感激。
美味しかったうえに、何たって瓶がかっこよく、
何時かまた手に入れたいな、と思っていたそのお酒が目の前にあった!
建設会社の社長の解説では、桝一の桝は、四角、一は一で、
このデザインになり、読み方はスクウェア ワンと呼ぶようになったとか。
イカシテル!。

鰻の寝床

2021.05.20

最近完成した幅が4m、長さ15mしかない細長い敷地に建つ住宅です。
建物は隣地や道路から多少は離さなければならないので、
建物の幅は3mしか取れない。
まさしく鰻の寝床のような敷地。

1階の親世帯のリビングの写真で、手前にキッチンとダイニングがあり、
その奥に畳を敷いた小上(こあが)りがある。
床が上がった分には引き出しを作り、畳は薄縁にして、床暖房を設けた。
最も奥の障子の先には猫の額程の庭があり、
ミズキを植え障子に枝葉の影が映っている。

2階は子世帯で、手前がやはりダイニングとキッチン、
その先にリビング、さらにその先にバルコニーがある。
上部には屋根裏部屋も作った。
この住宅、高級な食材の鰻のような2世帯住宅。

良寛の字

2021.05.04

新潟に北方文化博物館というのがあります。
博物館といっても、それは豪農の館を保存したもの。

ここは一般的な博物館の展示とは異なり、
あるべきものがあるべきところにあるのが素晴らしい。
すごく広い屋敷で、いろいろと面白いものがたくさんあったが、
巡っているうちに床の間に掛けてある軸が目に飛び込んできた。
なんと素晴らしい字!

素晴らしいとは思うけど、何と書いてあるか読めないし、もちろん意味も分からない。
だが、こりゃーただモンが書いた字じゃないなー、
ただただ凄いなーと思わずにはいられなかった。
力が抜けて 、外連味というものが全くない。
のびのびとして自由で、線と線がお互いに響きあい、
リズムがあり、明るく、華やか。

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下にあった解説文を読んだら、書いたのは良寛。
字は「見人無力下禅床」人を見て禅床を下るに力なし、と読むそうだ。
老いたからこそ人を見て、椅子から下りてどんな人にも接することが出来るようになった、
という意味とのこと。

下は北方文化博物館の建物の一部だが、良寛の字と通じるものを感じた。
このようなところまで辿り着くことができるのは何時のことだろうか。

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芍薬(しゃくやく)

2021.04.18

先日牡丹と芍薬の違いを書いたばかりだけど、
たまたま知り合いから芍薬の花が送られてきた。
牡丹も芍薬も同じころに咲く。
ますます紛らわしい。
牡丹と芍薬の違いは牡丹の葉っぱはギザギザ。
芍薬はギザギザなし。

だから送られてきた花は芍薬。
美しい!
部屋がパッと明るくなる。
花瓶は19世紀のイギリスのインク壺。

東長谷寺

2021.04.11

目白には東西の崖線があって、その南斜面に、薬王院という真言宗のお寺があります。


今、薬王院は牡丹の花が真っ盛り。
登楼(のぼりろう、屋根付きの階段)のある、奈良の長谷寺も牡丹の花で有名だが、
薬王院はその末寺で、やはり牡丹の名所。
手のひらよりデカい牡丹がある。

以前にも書いたと思うけど、牡丹と芍薬はよく似ている。
牡丹は樹木で、芍薬は草、
牡丹はデカい花をつけ、芍薬もそうだがまだ小ぶり、
牡丹の葉の先は分かれていて、芍薬は丸みがある。
ところで、牡丹は中国から弘法大師、空海が持ち帰ったとかで、
真言宗のこの寺に牡丹が植えてあるのは、そのことによるのかもしれない。
また牡丹は薬用で、この寺が薬王院というのも、このことによるのだろう。

重要文化財での結婚式

2021.04.04

姪の結婚式が目白の自由学園であった。
自由学園というのは、巨匠フランク・ロイド・ライトの設計による建物で、
現在は重要文化財として保存されている。
姪はこの自由学園の出身で、この建物で式を挙げるのが夢だったらしい。
落ち着いた、感じのいい結婚式だったが、 建物の良さもそのような雰囲気に貢献していたようだ。

建物の至る所に美しくアレンジされた花がいっぱい飾られていた。

窓辺には、

テーブルにも花。
花瓶もいい。

美しい結婚式だった。

昨年読んだ面白い本

2021.02.10

毎何、年の暮れにその年に読んだ面白かった本を挙げていましたが、
自分の本を作るので忙しく、遅れての書き込みです。
まずこの二つの本は、すごく売れていることは知っていたが、
「泉さんまだ読んでないの?」と言われて読んだ本。
白井聡 武器としての「資本論」
斎藤幸平 人新世の「資本論」 (集英社新書)
若かりし頃、マルクスの資本論にチャレンジしたが、
難解なのか読みにくいのか、どちらなのかわからないが、
途中で放棄してしまった。。
それが白井聡さんの「武器…」はスラスラと読め、
こういうことだったのかと、ずっと気になっていたことにやっと卒業できた気がした。
さらに斎藤幸平さんの「人新生…」の方も「武器…」を読んでいたので、
楽に読むことができた。
資本論というと、赤だとか古臭いと毛嫌いする人がいるが、
気候変動と資本論、この二つを結び付けて考えられるなんて、すごい。

建築の本です。
次の二冊は、シザとバワ作品,人間についての解読の本。
伊藤 廉 ポルトガルの建築家 アルヴァロ・シザ
岩本 弘光 解読ジェフリー・バワの建築―スリランカの「アニミズム・モダン」
建築家の作品紹介はまず写真がよくないと、ということもあるが、作品を解説した本の場合は、著者の知性や教養の深さが、問われる。
そのような意味で、この両作品は相当にレベルの高い本だ。
また、読んでいて楽しく、面白かった。
おすすめです、是非。

もう一冊、建築の本ではないが、椅子の生産と文化について書いた本だが、
読みながらずっと建築を考えさせられていた。
手作りが建築の世界で生き残ることができるのか、
そのようなことを違った視点から見ることを教えてくれた本、だった。
坂井 素思 椅子クラフトはなぜ生き残るのか

出来ました、本が。

2021.02.02

丸6年かかった本がやっと出来てきた!

今朝、出版社の方が出来立てホヤホヤの本を届けに来てくれた。
手に取ってみると、600ページ近くあるので、ズシッと重い。
まとめるのにここ数年は日曜なしで、やっていた。
でも、このような本はなかなか作れるものでもないし、結構楽しかったのも事実。
編集者も一仕事終えて、ほっとした顔で、
「出来上がって、正月がやっと来た。 徹夜をしたのは何年ぶり」、
とか言ってたけど、満足そうな顔だった。
ご苦労様。

下の写真は使用した図面や、文章、資料、校正などで結構な量になった。
本づくりの後半はパソコンとにらめっこだったが、前半はこの資料と格闘していた。
もう必要ないから処分するのだが、何か捨てがたい。

本屋さんには来週の2月9日から並び、AMAZONは2月10日から発売とのこと。
定価税込11,000円。
僕のところに言ってもらえれば、サイン入りでお分けします。
(お渡しできるのは2月中頃)
申し込みは k.izm@nifty.com 泉まで。

あとりえずTOKYO Ⅴ 換気効果抜群

2021.01.30

昨年、事務所を引越したが、建物を事務所として使えるようにリノベした。
最上階の一角に約2メートル四方の打ち合わせスペースを作ったが、
三方が壁に囲まれ、採光も通気が悪く、雰囲気も何んとなくよどんでいるような感じだった。
シマッタ!トップライトを付けておけばよかった、と後悔。
でもここで何とかしないと、一生後悔することになると思い、思い切って、
建設会社に、「ほとんど工事も終わっているにもかかわらず、この場に到って申し訳ないが、ここにトップライトを開けたいんだけど」と相談。
そうしたら、うれしいことに屋根に穴をあけ、トップライトを付けてくれた。

トップライトを付けたら、雰囲気がガラリと変わり、気分のいい打ち合わせコーナーになった。
しかも、さらに良かったのが、このコロナ禍の下、このトップライトは開閉できるものを付けたから、開けると空気がどんどん上昇し、換気効果抜群。
マスクはしているけど、安心して打ち合わせができる。
コロナにはトップライトを❣

あとりえずTOKYO Ⅳ 通勤路

2021.01.11

仕事場を引越し、通勤路も変わった。
新しい通勤路は、大江戸線新江古田駅乗車の東新宿駅下車。
しかし、一日に8000歩、歩く目標にしているので、丸々地下鉄に乗ると歩数が足りなくなる。
そこで、自宅から中井まで歩き、こから東新宿まで地下鉄を利用することにした。
この歩きの区間には、いい住宅地が広がっている。
中井駅近くは緑も多く、階段道がある。
その階段道の左側のお宅は林芙美子邸.
ご存じの方が多いと思うが、林芙美子は「放浪記」などで知られた小説家。

建物の設計は山口文象という、これも有名な建築家の手になるもの。
山口文象は日本における初めての近代建築運動、分離派のメンバーの一人。
のちのRIA設計事務所の創設者でもある。
林邸は現在は新宿区立の記念館となって保存されていて、見学できる。。
日本家屋の古めかしさがないわけではないが、 実はこの建物は僕の好きな建物の一つで、
窓の取り方が自由自在で建築家として大変勉強になる建物。

このような建物を横目に通うのは楽しい。

本が出ます

2020.12.30

数年前から書き続けていた本の原稿をやっと脱稿し、新年から印刷、出版ということになりました。
本のタイトルは「住宅設計の考え方」586頁の、結構重い本です。
彰国社より新年1月末に刊行の予定です。

文章と、図面、写真からなっていて、相互に関連性を持たせる作りになっています。
文章、図面、写真はそれぞれ、建築家が何を考え、どのようにして作り、どのようなものを作ったか、と対応しています。
これまでに単著は3冊出版していますが、600頁近い本は初めてで、これまでとまるで勝手が違いました。
200頁くらいの本だと100mか400mの短距離競争のようだけど、今回はマラソンのようだった。
出版になったら本屋で手にしてみてください。
泉のところに言っていただければサイン付き、握手付きでお分けします。

この本を出すまでは絶対死ねない!というくらいの思いでやっていたので、まぁ出来て、ふーって感じ。
が、書き終わったら、もう次に出したい本のイメージがモクモクと湧き上がってきています。