西芳寺 湘南亭☆☆☆ Ⅳ

2015.01.12

で、いよいよ今回の目的である湘南亭。
湘南亭は茶室。
利休の養子の千少庵によるものとか。

この湘南亭は池に沿ってしばらく左回りに進むと、数尺ばかり高いところにあり、見上げながら近づく。
見上げながら近づくことで、湘南亭が気高く見えるが、
やはりここでも高低差の妙。
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建物に至ると、屋根の下の土間がかなり広い中間領域となっている。
貴人口はそのまままっすぐ進むが、
その他大勢はまず吹きっさらしの縁に上がる。
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この茶室はかなり変わっている。
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定石からかなり外れていて、今時こんな茶室を設計したら依頼主に「こんなの、茶室じゃない!」と、叱られそう。
何がかと言うと、お茶をたてる主人の前に床の間がある。
お客からは床の間は本当に見えにくい。
でもこれは主人床と言って、一人でお茶を楽しむ場合にはあることのようだ。

室内の写真は撮らせてもらえなかったので、残念ながらここに掲げることができないが、
客人の席に座った時の、部屋を構成する各部位の絶妙な高さのバランスに感服せざるを得なかった。
感動を与える和室に共通することだが、
やはりここでも畳の表面から3~4尺当たりまでに、
手に掴みたいような濃密な空間が存在する。

しかも、貴人口の空いた障子からは、先ほど通ってきた小道を見下ろすことで、
時間化された空間ともなっている。

西芳寺の立地自体が起伏が始まる山のすそ野にあることで、
全体プランに高低差が生じることになったのだろう。

西芳寺、その中にある湘南亭の見学は、
何か本当に美味しい料理を頂いたような、その上に勉強までさせていただいた至福の経験だった。