蛍遊苑(けいゆうえん) Ⅲ

2014.08.07

7月21日に書き込んだ蛍遊苑Ⅱの続きです。

で、このような複雑な木組みををどうやって作ったか?
伝統的大工による規矩術でも可能だったかもしれないが、
これほど複雑な形態を解き明かすことのできる大工はもうほとんどいない。
いたとしても相当の時間とコストがかかるに違いない。

そこでこのような木構造をパソコン上で3次元のモデリングする。
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先のパソコン上の3次元のモデリングデーターに連動する3次元のプレカット機で加工する。
ドイツ製のフンデッカーという優れものの機械です。

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一本一本の部材の加工形態(昔でいうと墨付け)をパソコン上で行い、機械が加工する。
そこに伝統的大工はいない。

伝統の技術を持った大工がほとんどいない現在、このようなPCによる木造は一つの答えになるかもしれない。

と言って、PCを使えば伝統的大工が持つ技術のすべてにとって代わることができる、と言うことでもない。

代えることができるのは、部材加工のためのの幾何学(規矩術)であって、
一本一本の木が持っている性格を読み取ったうえでの適切な気配り(木配り)などは、目や肌触りなどの身体的把握による大工にはかなわない。
しかしそれも何れ科学的方法にとって代わるに違いない。
その時に 、かつての木造文化は科学によって塗り替えられてしまうことになる。
このことが好いか悪いかは大変奥の深い難しい問題だ。