自宅Ⅱ

2008.03.18

熊本の田舎から東京に出てくるまでは戸建ての家だった。
18歳で東京に出てきてから転々とアパートを変った後、
現在のマンションに長いあいだ住み続けてきた。
だから久しぶりの戸建て住宅での生活である。
しかも田舎にいた時は親の建物で、今度は「自分の家」だ。

自宅を作ってみてマンション住まいとの大きな違いは、
戸建て住宅は住まう人間が街に対して顔を向けて住まうということ。
建物が街にさらされている。
ところがマンション生活は街に対しても、それどころか隣の部屋の人とさえ無関係。
それは気楽な住まい方ではあるが、
都市の中の箱の一室、無名性をもった隠れ家のようなものだ。
マンションは誰々さんチではない。

なるほど戸建ての住宅を持つとは街に対して顔を向けて住むことなんだと、
近所へのあいさつ回りやなんかで改めて認識を深めた。
それに建築家が作る家だから、やはり目立つ。
別段奇をてらったつもりもないし、
むしろ自分としては地味に、自然なおさまり方をした家のつもりだが、
それでも目立つ。

自分の家が社会に曝されるることで、
住宅の意味を改めて考えさせられた。