山口・島根の旅 Ⅳ 赤い瓦

2014.11.14

裏日本では赤い瓦の屋根を見かける。
これは決して西洋の赤い屋根をまねたものではなく、列記とした日本の瓦だ。
裏日本は寒く、僕らがよく見かける燻色の瓦では、凍害で割れることがある。
(凍害→瓦に浸み込んだ水が凍ると膨張し、瓦を割ってしまう)
そこで釉(うわうすり)をかけて焼くことにより凍害を防ぐが、釉をかけるので照りがある。
その釉がたまたま赤かったので、赤い屋根が出現することになった。

僕らにとって屋根は黒、黒じゃないと屋根らしくない、
日本の屋根は何たって黒、黒じゃないとダメと思ってしまっている。
だから、赤い瓦屋根を見ると何か、変だよね~、と思ってしまう。
裏日本に近づくとポツポツと赤い屋根が現れ始めるが、何か違和感を感じる。
しかし裏日本の真っただ中に近づくにつれ、だんだん赤い屋根が増えて、
その内に、ほとんどの屋根が赤ばっかり、集落全体が赤い屋根ばっかりになってしまう。
その頃になると、見慣れてしまったのか屋根が赤であることに何の違和感もなくなってしまう。
それどころか、たまにある黒い瓦屋根が陰気にさえ見えてしまったりする。
人間の観念っていい加減なもんだなー、とつくづく思う。

台風とともに移動したので嵐の中の赤い屋根の集落の風景です。
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石見銀山にある熊谷家住宅(重文)の屋根です。
この屋根は美しかった。
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