名著

2011.02.17

建築関係の人は読むべし。
いい本が出ました。

いつぞや日土小学校を設計した松村正恒のことを書いたことがあります。

この日土小学校の保存再生に深くかかわれた花田佳明さんから、
「建築家・松村正恒ともう一つのモダニズム」という本を出したとの案内を頂いた。

さっそく神田の南洋堂に行って、出来立てのホヤホヤの本を見たのだけど、何と4~5センチもある分厚い本。
それにこの本は博士学位論文が元になっていて、なおさら読み切るには根性が入りそう、に思えた。

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博士論文だから、著者には失礼なことだが重箱の隅をつつくようなことが書いてあるかも、
と最初はちらっと思ったが、とんでもない。

事実を淡々と描いてあるのだが、感動させられたり建築家として身につまされるような内容があったりと一気に読み通してしまった。

松村正恒のことを書いてあるのだが、実は現代建築や建築家に対する全面的な批評となっている。
多少は建築論を読んできたが、これは名著に入れてもおかしくない本だ。

それに余談だが以前紹介したことのある本、「蚯蚓のつぶやき」を書いた河野通祐さんが何度も登場したりした。

本の表紙である上の写真を見ると松村正恒は建築家らしくないスタイル。
髪は七三に分け刈り上げ、それにスリッパを履き、どこかのオヤジとでも言ってもいい風貌。
最近でっかい水玉模様のシャツなぞを着た建築家がいるけど、
松村正恒のこの格好を見せてあげたい。