作品集Ⅴ

2011.07.11

作品集を作っている時、出来上あがったら何人かの方には是非お送りしたいものだ、と思いながら原稿を書いていた。
その中の一人が中学1年生の時の担任のM先生。

今までにお世話になった方々が沢山いる。
例えば幼稚園から沢山の先生に教わってきたように。
でも先生のうち半数以上が他界されたのではないだろうか。
しかし、中学1年生の時の担任の先生は、大学を卒業されたばかりで赴任されたピカピカの新米の先生だった。
だから僕より10歳上で、多分ご健在のはずだと思い、
田舎の教育委員会に電話して聞いてみたらご健在ということが分かり、
現住所を教えてもらった。

M先生には是非本を送りたいと思ったのは、私たち生徒に純粋に真摯に向かい合って下さっていたからだ。
とても真面目ではあるが、かたぐるしい真面目さとは違って、
何事にも一生懸命に立ち向かわれることが子供心に伝わってきていた。
だが、その後年賀状一つも出さずに失礼していたが、心の中には印象深く残っていた。

でも、本をお送りしたが、なかなか返事が来なかった。
本が届かなかったのではないか、届いても僕のことは忘れてしまわれたのだろうか、
それともあまりいい印象の子ではなかったのではないか、
などと思いめぐらしていた。

ところが、先日分厚い長文のお手紙を頂いた。
本をお送りし、大変喜んで頂いたのがわかり、本当にうれしかった。
本を全部読んで頂いたから、なかなか返事が来なかったのであろう。

僕が中学一年生の時、新米だった先生はもう退職されて10年になっていた。
50年振り、半世紀後の音信だった。