亜米利加紀行 Ⅳ カーン

2015.12.23

この亜米利加旅行シリーズはアメリカの建築家カーン(1901- 1974)の作品を見て、そのことを書くため、だったのだが、
なかなかカーンのことは書き出せなかった。
観光見物みたいなことばかり書いて、カーンのことを書くことから逃げていたようなところがあった。
というのは、彼の建築を見て、あまりにも凄過ぎて、しばらくどう書いていいかわからなかったからだ。
見た建物はニューハンプシャー州にあるエクセター・アカデミー図書館など。。
下の写真はそのエクセター・アカデミー図書館です。
Img_2546_2
Img_2593
Img_2585
実際に見て、カーンほど空間の構成能力が高かった人はそういないのではなかろうか。
彼がこの図書館にかけた空間構成へのエネルギーの凄まじさ、その能力高さを、長年建築にかかわってきたきた人間として、じっと見ているとそのことがひしひしと伝わってくる。

この建物のための空間の秩序(シンプルではあるが、多様な空間を生みだす秩序)を発見し、
その秩序を維持する徹底的なディテールへのこだわり、
それが一分の手抜きをすることなく全体に貫かれている。
それは並のエネルギーではない。
とんでもない集中力の持続があったと思える。

建物を読み込みながら、その徹底的な意思を見出すたびに、彼はこう考えたんだなと知らされ、へとへとにに疲れてしまった。
それはこの建築が居心地が悪いというのではなく、
建築を専門とする人間から見ると、ここまで考え抜いてやっている強靭さへの畏敬から来るものだ。

「私のルイスカーン」という名著があるが、それを読むとカーンが天才と奇人はやはり紙一重、との印象があったが、
実際の作品を見てみると、成る程、と思わせる。

日本に帰って、この図書館の模型を事務所で作ってもらった。
カーンの空間構成の手法を勉強するため、そして何よりもカーンの建築への挑戦する気概を忘れないため。
Img_3772
Img_3783
この図書館のほか、コネチカット州にあるイェール大学アート・ギャラリー、テキサス州のキンベル美術館などを見て、世の中には凄い人間がいるものだと、またまた思い知らされた。