スリランカ紀行 Ⅶ プロとアマチュアの彼岸

2010.12.09

建築家バワはスリランカの国民的英雄だ。
しかし、日本人の建築家が彼の建築をみたらどう思うだろう。
今迄にあまり経験したことのない建築と思うだろうし、
常日頃設計している建築とはほど遠いものだ。
だがバワの建築はスリランカ国民に愛され誇りとなっている。

いま建築家は狭い範囲で建築を考えているのではないか。
彼の作品を見ると、建築があらゆる物事と同時共存している。
建築をみる視野が広いのだ。
人間の全存在で建築にかかわっている。
建築には確かに専門的な知識、能力が必要であるが、
人間としての全存在をかけて建築と向かい、
専門家、素人とかを超えることによって始めて建築の実在感が生まれ、共感が得られる。

見回してみると、そのような建築家に白井晟一やバラガンなどが思い浮かぶが、
バワも、白井晟一も、バラガンも建築以外の世界の人々に共感する人が多い。
専門家、素人を超えたところに本物の建築があるのではないか。
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