スリランカ紀行 Ⅲ 身体と空間の交感

2010.11.19

バワの建築の特徴の一つは建築と外構工事、芸術品が混然一体になっていること。

バワの仕事に協力してしていた弟の住宅だけど、
門から建物までの長いアプローチは背の高い両側の熱帯植物でキュッと狭め、人を迎え入れてくれます。
さまざまな植物を植えることで刻々と変化する風景と同時に、カーブしたこの道の先がどうなっているのだろうかと期待を持たせられる。
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次はバワ自身の別荘で、屋外に面した吹きさらしのダイニングです。
ダイニングの向こうには池があるのだけど、その途中に見事な木が植えられている。
この木まではダイニングからフラットに床面がつながるが、その先はスロープになり池え落ち込む。
そのことによってダイニングから延長する木までの連続した空間が生まれる。
このような仕掛けはあらゆるところに、というか敷地全体にわたって計算されている。

おそらくバワは建築を平面図で考えたのではなく、シーンで考えたのだろう。
だからバワの建築は平面図からは読めとれない豊かさがある。
と言って単なるシーンの結合ではない。
変化するシーンの関係性によってさらにシーケンスを生み出す。
通路を狭めたり広げたり、天井を高くしたり低くしたり、さらには歩く正面に何らかの風景を作ったり…・と。
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そのような通路の先の格子と庭です。
格子も美しい。
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現代建築が失ってしまった身体と空間との関係です。