いい仕事は、人が見ていなくとも・・・。

2010.09.23

板金屋という職業があります。
車のボディーの凸凹を治すのも板金屋ですが、
建築にも板金工事があります。
おもに金属の屋根を葺く職業です。

この板金職人の腕が現在、みるみるうちに落ちています。
かつては、曲げたり切ったりしながら、
取り付ける板金の加工を自らやっていたのですが、
現在では工場で加工したものを現場で取り付けるだけの仕事になっています。
だから職人自ら鉄板を切ったり曲げたり、現場に応じての細かい加工をしなくなった。
そこに板金屋の腕があったのだけど・・・。
もっとも、現在いろんな職人の仕事がそうなってしまっているが。

でも中には腕のいい職人が残っています。
僕が知っている中山板金はその一人。

写真の仕事は立ちハゼ葺きという簡単な仕事ですが、
でも中山板金がやるときれい。
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鉄板を挟む工具(ガチャという)で締め付けているところだけど、
締め付けた後が真っ直ぐになっている。

このくらいのことは簡単なことと思われるかもしれないが、
はさむのを飛ばしながらやるので、最近ではボコボコになっていることがある。

中山板金のガチャは長い、長いから真っ直ぐにきれいに仕上がる。
でも、長いガチャは当然重い。
重くてもきれいに仕上げるために、長いガチャを使ってもらえるのはうれしい。
せっかく頑張ってくれているのだからと記念写真を撮らせてもらった。

こういう頑張りを認めてあげるのも建築家の仕事の一つです。
でも職人さんはテレ屋が多く、顔をあげてくれなかった。
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