本の紹介「現代音楽のゆくへ 黄昏の調べ」☆☆
2016.12.10
現代音楽がなぜ不人気なのか、そしてその不人気な現代音楽はどのようにしたら人々に受け入れられるようになるのか、といったことを論じた本。
もともと現代音楽はわかりずらく不人気だったが、さらに最近は演奏される機会も減っているようだ。
やはり人気がないのだろう。
で、そんな現代音楽を論じる本だが、この本の「現代音楽」という言葉を「建築」という言葉に置き換えても読むこともできる。
建築は現実社会での用途が前提とされるから、現代音楽のように「人にわかんなくっても、俺が描きたいように作曲するだけ」という具合にはいかないが、建築にも多少なりとも一般の人には理解され難い傾向があるのも事実だ。
現代音楽の不人気の理由を、新しさが常に求められる「近代」にあるとし、その歴史的変遷のキーワードとして、構成、モダン、ポストモダン、キッチュ、ミニマリズム、素材の自由化、コラージュなどが出てくる。
なんだ建築と一緒じゃん!と驚かされる。
音楽、絵画、建築などあらゆる芸術が関係性を持ちながら同時代的に進行しているんですね。
この本を読むことで、我が建築の世界を逆に照らし出されるような気がした。
黄昏の調べ: 現代音楽の行方