2010年02月の
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HOLY SPACE

2010.02.28

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オッと、いきなりキツネさんです。

建築の設計をやっていると、お祭りごとでいろんな宗教に出くわす。
地鎮祭や上棟式は神式で行われるのが一般的だが、
キリスト教、仏教、さらに新興宗教のそれに出たこともある。
僕は無宗教だから、クライアントの信じる宗教次第、というわけだ。キリスト教での地鎮祭では御家族と一緒に讃美歌を歌ったことがある。
信じてない宗教のにわか信者然となるのは面映ゆい。
いいのかな・・・。
面白かったのは山伏による地鎮祭だった。
山伏さんがホラ貝をボー、ボート吹き鳴らし、さらに刀をエイ、エイと振り回したことがあった。

ところで、お屋敷にはよくお稲荷さんがあり、これは結構めんどくさいことになる。
建物の配置によっては動かさざるを得なないが、そうそう動かすことはできない。
お稲荷さんはたたりの神とも考えられているようで、
移動するだけでも大変。
廃棄などとんでもないこと。

先日、敷地にあるお稲荷さんを住宅の建て替えに伴って新しくされたが、
「泉さん、稲荷さんの落慶法要にも参加してよ」とのこと。
建物の完成祝いにはよく出るが、稲荷さんのそれは始めて。

稲荷さんってな~に?と前から思っていた。
土俗信仰?
それとも鳥居があるし…神社に関係するもの?
でも、お寺の境内にもあったりもするから何だろうと思っていた。

で、今回のお稲荷さんのお祭りに来たのは豊川稲荷のお坊さん
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このお坊さんは永平寺で修業された方で、
永平寺は曹洞宗、つまり禅宗というわけだ。
直礼(なおらい)の時このお坊さんに稲荷信仰に付いて講釈を承ったが、
その系譜は簡単に説明できるほど単純でないようで、
豊川稲荷が曹洞宗と合体したもの、ということだけはわかった。
へー、稲荷と禅宗の合体かー。
また豊川稲荷は商売繁盛の神様でもあるようで、
「泉幸甫建築研究所、商売繁盛。○○建設、商売繁盛」と何度もお経をあげていただいた。
頼んだわけではないのだが、ご利益があるかも!

このお稲荷さん、道路から見ると新築した住宅の奥の、
民家に囲われたひっそりとした庭にあり、Holy space(神聖な場所)となっている。
この様な空間が住宅の中にあるのも決して悪くはないな。

春近し。

2010.02.24

昨年から作っていた那須の別荘がほぼ完成。
今年は雪が多いようで、
窓からは一面の雪景色。

ダイニングはオコタのある茶の間のようです。
雪を見ながら、炉端焼き。
換気は焼肉屋と同じく、下の方に引きます。
建主しさんが、「今度焼肉をやろうよ」とのこと。
雪が残っているといいなー。
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相変わらず東へ西へ。
行く先々で、勇壮な景色を堪能できます。
浅間山です。
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富士山です。
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でも富士山は雪が少なそう。
もう春間近。

人面木

2010.02.20

自宅近くの公園を歩いていたら、
なんだか絵本に出てきそうな木じゃありませんか。
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ニシオギ

2010.02.17

打ち合わせの帰り道、JR西荻窪の南口で見た飲み屋街。
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2~3街区が飲み屋でぎっしり。
ニシオギには何度も来たことがあるのだが、
へー、こんな所もあったのかと感激。
事務所の所員と一緒にいいなー、いいなーと言いながら飲み屋街を見て回った。
妙にデザインしてなく、つまりコジャレてなく、
なぜか落ち着く。
街並みだっていいじゃないか!と言いたくなる、

周りは鉄筋コンクリートや鉄骨の建物だが、
この街区は古い木造の2階建てばかり。
だから建物の、街の肌合いが違う。
調べてみればわかると思うが、このように木造の密集地が駅直近に残っているのは、
地権と都市計画法、建築基準法が目指すところとの齟齬で生まれた風景に違いない。

でもこの齟齬、がいいんだなー。
東京にはこのような駅近の飲み屋街が残っているが、
へんに再開発なんてして欲しくないもんだ。

ところでこのニシオギで、飲んだか飲まなかったか?
残念ながら真っ直ぐ事務所に帰った。本当に!!

一生に一度しか流せない涙

2010.02.15

この季節になると各大学の建築学科では卒業設計の審査会があります。
学生にとって卒業設計は一生に一度のプライドをかけた戦い。
優秀な作品には賞が贈られ、また全国の卒業設計制作展に出品されます。

今年は集合住宅の作品が多かったが、
その中でも審査員の先生に人気があったのがこれ。
圧倒的な、1メートを超える模型です。
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上の作品のコンセプト模型がこれ。
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全体の形から小さなスケールに至る、段階的なプロセスを経た思考があったことが成功した原因のようだ。

ただ、先生ごとに審査の基準が違っているから絶対的なものはないはずで、
実際に設計しているプロの先生に人気があったのはこれ。
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ところで僕が一番評価したのは次です。
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疲弊した地方都市の再生を考えたもので、街全体をホテルに変える案。
レンガの街にふさわしく、レンガの塀をグルグルと繋げて、
もう一度街並みを再構成している。
歯抜け状態になった敷地は広場になったり。

学生の案はどれもそのままやれるものではないが、
現状を批評的に見、こうやったらよくなるのではとの提案だ。
日頃、リアルな世界に埋没させられている自分にとって、
卒業設計の審査は楽しい一時だ。

ところで、賞をもらった学生の中には感激のあまり涙、涙の子もいます。
頑張って報われた、いい涙、いいな~!
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美しいタワーになれるかⅡ

2010.02.05

前回書いた「君たちは東京タワーと、エッフェル塔ではどちらが美しいと思うかね?」と、
僕らに問うた先生(近江栄先生)の話の続き。

この話は大学の建築学科に入ってすぐの授業でだった。
高校までは一方的に教え込まれる授業だったが、
自分はどう考えるか、という質問自体が新鮮で、
大学の授業はさすがに高校とは違う、とうれしく思った。

で、その質問に対しかなりの学生が東京タワーを支持していたようだ。
それに対し先生は、
「これから建築をやろうとしている君たちは何を考えているんだ」と言わんばかりに不機嫌そうに、
東京タワーよりエッフェル塔が美しいと思う理由を話し始めた。

「まずエレベーターの付き方を考えてみろ。
東京タワーは4本の脚の真ん中にエレベーターがぶら下がり、
イチモツをぶら下げているようなもんだ。
だが、エッフェル塔は脚元をスッキリさせるため、
エレベーターをわざわざ脚の中に入れ、斜めに走らせているではないか…・。
建築のデザインを考えるとはそういうもんだ・・・・。」

建築のことが何も分からなかった頃だけに、
この話は強烈な印象として残っている。

ところで、後輩の若い建築家に近江先生から昔、先のような話を聞いたと話したら、
「僕も聞きましたよ!」とのこと。
先生もこの話が気に入っていたのだろう、30~40年間話し続けていたのでは。

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