芸術の秋 Ⅲ

2011.10.14

間違って上野に行き、あせって六本木の国立新美術館へ。

僕の知り合いがスペースデザイン部門に沢山出していた。
かなり身近な、しかも何十年かの付き合いの人たちで、作風の変化が読めて面白い。

彫刻部門には今年、98歳で亡くなった佐藤忠良さんの「帽子・夏」が飾られていた。
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佐藤さんのアトリエを訪ねたことがある。
寒い日だったが、ストーブの前で若造相手に目をきらりと輝かせながら、少しも威張ることなく、
いろんな話を聞かせて頂いた。
その時の話で最も印象に残っているのは、
佐藤さんは厳寒のシベリヤ抑留の体験者だが、

「シベリアから西へ行くと、陸続きでパリに歩いて行ける、
日本に帰るよりも、本当にパリの方へ行きたかった」

パリは芸術の都、そちらへ行きたかった。
極限状態の中でも芸術への思いを持ち続けておられたのだろう。