中村彜アトリエ

2018.11.29

仕事場と自宅の間に画家、中村彜(つね)のアトリエがある。
先日、徒歩通勤の途中寄った。

中村彜には「エロシェンコの肖像」という有名な絵がある。

大正時代に37歳という若さで結核で血を吐きながら亡くなった、
いわゆる夭逝の画家だ。
実は中村彜は僕の大好きな画家だ。
始めてこのエロシェンコの肖像を見たのは竹橋の国立近代美術館。
モダンデザインにはない、心揺さぶられる絵だった。
現在、重要文化財になっている。
さらに中村彜が好きになったのは「中村彝―運命の図像」という本を読んでからだ。
中村彝―運命の図像 (1983年)
これ以上ない淋しさと孤独に包まれた人、と思わせるキリストのような人だ。
なお、この本は新宿中村屋を中心とした大正時代の芸術家達の群像風景も見ることもできる。

中村彜のアトリエは現在開放されている。
天井が6メートルはあろうかという部屋で、
入ると普通にはない空気感に包まれている。
それは私が中村彜に思いれがあり、
彼が晩年、ここで数々の名作を残して死んでいったことを知っているからかもしれないが、
建築的にも素晴らしい。
画家のアトリエは、よく北側に大きな窓を取っている。
それは、直射日光を嫌い、安定した採光を取るためと言われる。
確かに、淡い明るい光に包まれ、天井が高いこともあって、厳粛な気持ちにもなる。

この部屋をさらに観察すると、できるだけ影を作らないように、
光が部屋全体に回るように計算されている。
水平天井に対して、斜めに持ち上げられて天井は、末広がりに光が回るように台形になっている。

この中村彜アトリエ記念館は東京都新宿区下落合3-5-7
https://goo.gl/maps/6MNzG1JuT8x