おめでとうございます。

2006.01.02

昨年は忙しい一年でした。
このBLOGへの書き込みも忙しさのあまり、一ヶ月以上あいてしまいました。
何時ものことですが、よく見てくださっている方には申し訳なく思います。
そんな最中、建築界で信じられないような事件が起こりました。例の事件です。

ニュースでANEHA氏が設計した建物の耐震性能が0.2とか0.3とか言われていますが、以前より僕の事務所では1.0が基準のところを、さらにそれを1.5倍に上げて設計していました。
それはいずれ来るであろう巨大地震に備えてです。
多くの建築家が耐震に対してそのような数値を取っているかは知りませんが、
僕の知る建築家は耐震に対してだけでなく、様々な観点に対してまじめな対応をしています。
しかしこの事件によって建築界の信頼が崩れてしまったのは残念でなりません。

ところで、ANEHA氏自身は好き好んであのような設計をしたとは思えません。彼にとって何の得にもならないことだからです。おそらく彼自身言っているように「圧力」があったからでしょう。
そうだとすればこれは建築家だけの問題ではなく建築業界全体の問題と考えるべきです。それは建設会社、ディベロッパー、建築行政、政治家まで含んだ、日本のいまだなくならない「土建体質」の問題です。
また消費者に対して専門的な内容の情報公開の方法が進んでない点もあります。
と言って、もちろん建築士の資格者であったANEHA氏を擁護する気は毛頭ありません。建築士と言う言葉には「士」と言う文字がついています。士であったらそのような「圧力」は跳ね除けたはずです。
「士」という言葉に含まれる、自立した精神、批評の精神があればそんなことはしなかったはずです。

年頭よりこんなことを書かなければならないことは残念なことですが、この事件に限らず何時の時代も、どんな職業においても、この批評精神は大事だと思います。これからも批評する精神を建築を通して具体的に表現し続けたいと思います。

ところで昨年所員募集をしましたら50名を超える応募がありましたが、どなたにするかまだ決定していません。
応募された方はもう少しお待ちください。