「どんな敷地で・・・・

2006.08.27

建てたいですか?」とよく聴かれる。
でもこの質問には一瞬、困ってしまう。
結局、「どこでも」と答えてしまうのだが、でもそうとしか答えようがないのだ。
今までに美しい森の中や、いい住宅地で建てたことはある。
一方ゴチャゴチャした下町や、日当たりの悪い北側斜面にも建てた事がある。
いやむしろそんな敷地の方が多いかもしれない。
第一、人が住むところで日本にはそんなにいいところはない。
建築家という職業がそもそも敷地を自分自身で選べなく、それは良い悪いを超えて先験的に与えられるものだから、与えられたものなら「どこでも」と思うようになったのかもしれない。
またどんな敷地でも活かしようはあるもので、それが建築家の能力でもあるからだ。
まっ、そんなふうにいつも思っているのだが、先日新潟近くの新発田市にある建物を見に行ったが、そこの2階から見る日暮れ時の風景は絶品だった。
特別に何があるわけではなく、見えるのは田んぼと山、それに少々の木々だけ。
そういえば以前はこんな風景が日本中にあったなー、と思い返した。
なんでもない景色だが素晴らしい。
茫洋として重なる山の端に、それをところどころ切る木立。
視界一面に広がる夕暮に吸い込まれそうになる。

やはりこんな景色を毎日見れるのはいい。
ひょっとしたら「どこでも」というのは自虐的?になっているのかも。

下の写真はその窓からの風景です。
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